そのチャンピオンの言葉どおり、2列目セカンドロウには“4冠王者”コリン・ターキントン(チームBMW/BMW 330e Mスポーツ)とアダム・モーガン(カーゴッツ・ウィズ・シシリー・モータースポーツ/BMW 330e Mスポーツ)が並び、同じく3列目にはステファン・ジェリー(チームBMW/BMW 330e Mスポーツ)と新鋭ギャンブルが続くなど、最終的に5台すべてのBMWがトップ6に収まる結果に。
その背後では、ここが地元のロリー・ブッチャー(TOYOTA GAZOO Racing UK/トヨタ・カローラGRスポーツ)が選手権首位トム・イングラム(ブリストル・ストリート・モータース・ウィズ・エクセラー8・トレードプライスカーズ.com/ヒョンデi30ファストバック Nパフォーマンス)を抑えて、意地の7番手に滑り込んだ。
迎えた日曜最初のヒートから早速ヒルvsサットンの攻防が本格化し、スタート直後からサイド・バイ・サイドの勝負を繰り広げた2台は、オープニングラップをほぼ横並びでクリアした最終シケインで、2番手サットンがBMWに並び掛ける。
そのままスタート/フィニッシュラインを駆け抜けた2台は、バトルの引き出しに勝るサットンがターン1を制して首位浮上。しかしここから、タイヤの内圧上昇に伴いトラクションが増したヒルが執拗にフォードへプレッシャーを掛け、緊迫のテール・トゥ・ノーズが続いていく。
5周目には最終シケインでサットンのリヤを突つき、一時はヒルが前に出るも、続くラップで再びチャンピオンがポジションを奪還する勝負を経て、10周目のターン1ではついにインサイドを抑えたBMWが先行。これで2番手サットンは、背後に迫るターキントンに対する徹底したディフェンスを迫られることに。結果、そのままリードを拡大したヒルが3.640秒のマージンを築いて“ポール・トゥ・ウイン”を決め、2位サットン、3位ターキントンの表彰台となった。
同じくヒルとサットンの最前列でスタートしたレース2は、先頭のBMWが堅実なスタートを切ったものの、シケイン出口でワイドになり早々に首位から陥落。セーフティカー導入を経て再びアタックを試みたヒルだったが、ここで2度目のミスを犯してWSRのエースにも先行されてしまう。
しかし双方のドライバーがレース後に語ったとおり「後半はリヤタイヤのドロップが大きく、ミスしないことに集中した」というBMWのコンディションにより、今度は“4冠王者”がターン1でワイドに。この結果、ヒルを0.141差で抑え切ったサットンが薄氷の今季初優勝を挙げ、ターキントンが連続の3位表彰台を得る結果となった。


