予選後にそう語ったジロラミの予見どおり、レース1のスタートではフロントロウ2台が完璧なスタートを切り、トラクション勝負ではほぼ互角の蹴り出しを見せた。しかしここからひと伸びを見せたのが2番手のベルトンで、高速ターン1とターン2に到達するころにはイエローのアウディが先行し、ホンダ・シビックはレースを通じて終始、追走を強いられることに。

 そのオープニングラップ背後では、ジロラミの僚友で4番手発進だったエステバン・グエリエリ(ALL-INKL.COM・ミュニッヒ・モータースポーツ/FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR)がジル・マグナス(コムトゥユー・チーム・アウディスポーツ/アウディRS3 LMS 2)からのプッシングでスピンを喫し、タイヤに大きなダメージを負いピットへ向かう事態となる。

 22周のレースはそのまま上位勢の神経戦が続くも、粘り切ったベルトンがジロラミを0.299秒差で抑え込みトップチェッカー。ただし3位に続いたマグナスは5秒のタイム加算ペナルティを受け7位まで降格し、アズコナが貴重なポイントを積み重ねる結果となった。

「とてもハードな展開だった。1周目から(タイヤを)管理していたけど、残り3周の段階でかなり振動があったんだ」とレース後に明かした勝者ベルトン。「また勝利を失うのが本当に怖かった。今季すでに表彰台と4位を2回失っているからね……。これで逃したポイントを考えると本当に災難だ。勝利を挙げられて心から安堵しているし、レースの間はとてもストレスが溜まったよ」

 続いて夕刻16時を回って開始されたレース2は、リバースグリッドの最前列が役者を代えて“リプレイ”するかのような展開となり、ポール発進のメディ・ベナーニ(コムトゥユー・チーム・アウディスポーツ/アウディRS3 LMS 2)に対し、2番手グリッドのハフがスタートで追い抜きを決め18周のレースを支配。ハフが今季2勝目を挙げ、ベナーニの背後にはふたたびアズコナが続き、チャンピオンシップ争いを優位に進める連続表彰台を得た。

「はっきり言って、現状はまるで夢の中にいるみたいだ。シーズンが始まる1週間前は、レースを戦うことさえ疑問符がついていたからね」と明かしたランキング3位浮上のハフ。

「今季ここまでの僕らは、たった1日半のテストをしただけだ。その上で僕らがこれだけのパフォーマンスを出し、結果を得ているのはチームが完全に結束しているからだ。その連携は非常にタイトで、やる気があり、プレッシャーもない。すべての瞬間を楽しんで、今後も(ポイント首位の)ミケルをプッシュしていくよ」

 次戦となるWTCR第8戦はまだ確定しておらず、日付と会場は今週にも発表される予定となっている。

続くレース2はロブ・ハフ(Zengő Motorsport/CUPRA Leon Competición TCR)が制し、かつての世界選手権王者は今季2勝目を飾っている
選手権リーダー、ミケル・アズコナ(BRC Hyundai N Squadra Corse/ヒョンデ・エラントラN TCR)は連続3位でリードを拡大した
「プレシーズンには何の期待もしていなかったから、今いる場所は空飛ぶ絨毯の上」とハフ

本日のレースクイーン

林れむはやしれむ
2025年 / スーパーGT
マツキヨココカラアンバサダー
  • auto sport ch by autosport web

    RA272とMP4/5の生音はマニア垂涎。ホンダF1オートサロン特別イベントの舞台裏に完全密着

    RA272とMP4/5の生音はマニア垂涎。ホンダF1オートサロン特別イベントの舞台裏に完全密着

  • auto sport

    auto sport 2025年6月号 No.1608

    [特集]レッドブル 角田裕毅
    5つの進化論

  • asweb shop

    STANLEY TEAM KUNIMITSUグッズに御朱印帳が登場!
    細かい繊細な織りで表現された豪華な仕上げ

    3,000円