首位争いの隙を突いて17歳のモンテネグロが28周目に抜け出すと、アズコナもカサグランデを捉えて表彰台圏内へ。残り2分で2番手フェルドマンのクプラと何度もポジションを入れ替えてのバトルを展開したWTCRのスターは、2番手で高速右コーナーへステアリングを切り込んだが、そのイン側にクプラが衝突。さらにあろうことか、グラベルトラップを突っ切るようにスロットルを踏み続けたフェルドマンは、まさに“Tボーン状態”でヒョンデを弾き飛ばし、バトルのすぐ脇をすり抜けていったカサグランデの背後でコースへと戻る。
この場外乱闘にも助けられ、勝利に向け「イージー・クルージング」に入っていた17歳にも悲劇が襲い、1時間レースのチェッカーまであと90秒のところで、首位29号車のシビックはエンジンがオーバーヒートしてスローダウン。ボックス内で見守ったジロラミも愕然とした表情を浮かべる展開で、目前だった勝利への望みが絶たれてしまう。
これでカサグランデ/グエリエリ組の34号車がトップでフィニッシュラインを越え、フェルドマン、アズコナの順でチェッカー。しかし、2位争いの攻防に対してレーススチュワードはフェルドマンを「失格処分」とし、アズコナ組が繰り上げの2位、そして選手権ポイントリーダーのファブリツィオ・ペッツィーニ/カルロス・オクロヴィッチ組(PMOモータースポーツ/リンク&コー03 TCR)が繰り上げ3位を得る結果となった。
「本当に理解できない。クレイジーなんてもんじゃない」と、レース後に怒りをあらわにした招待選手のアズコナ。「彼(フェルドマン)は僕を殺したいと思っていた。彼はグラベルに乗ってからも完全に加速していた。僕はクルマごとひっくり返るだろうと思ったよ」と、状況の説明を続けたアズコナ。
「僕は彼のためイン側に1台分のスペースを残したけど、それを全然理解していない。前のコーナーで接触があったのは分かっていたので、次のコーナーで2台分空けてポジションを戻したけど、こんなハードな仕打ちを受ける意味がわからない。僕にとって、この動きは非常にクリアなものさ!」


