3位クルシムの背後では、並んでスタートを切ったラッコとアルバセテのバトルに乗じ、レンツがポジションを上げていたものの、最高速160km/hのスピードリミッターが不具合を起こし、速度違反のペナルティでドライブスルーが課せられることに。
ここでピットエントリーに彼のトラックが接近していることに気づかなかったチームクルーが、直前でレーンを横切り「あわや衝撃の瞬間……」という事態に。しかしこれに素早く反応したレンツが、フルブレーキングで最悪の事態を回避。この結果、さらにロスを喫して13位でレースを終え、アルバセテは4位、ラッコは5位でフィニッシュとなった。
明けた日曜午前のスーパーポールも、昨季王者自らが設定したゾルダーのラップレコードを更新するオマケ付きで連続ポールを「11」に伸ばすと、そのままレース3を“ライト・トゥ・フラッグ”で制して今季12勝目に到達。2位ハーンと3位レンツに付け入る隙を与えない、完璧なレースを披露した。
このヒートでシュテフィ・ハルム(チーム・シュバーベントラック/イベコ)に打ち勝ち、8位入賞を決めたシェーン・ブレルトン(TORトラック・レーシング/MAN)がリバースポールから発進したレース4は、背後のクルシムやテオ・カルヴェ(バギラー・ZMレーシング/フレートライナー)のバトルを横目にポジションを上げたラッコとハーンの一騎打ちに。
クルシムはハーンとの勝負でグラベルに散り、首位ブレルトンは追撃してきたカルヴェと接触してコース上から押し出され、後者のトラックもパンクのダメージを負ってしまう。
ここで僚友からリードを引き継いだラッコは、背後に迫るハーンを抑えてトップチェッカー。前日の“帝王”と同じく、ようやくの今季2勝目を手にしてみせた。
さらに表彰台の驚きは3位に飛び込んできたハルムの躍進で、前戦の結果で9番手発進を強いられた彼女は、周囲の脱落にも助けられ素晴らしいドライブを披露し、レンツを抑えてポディウムにまで到達するレースを披露。一方で王者キスは、レンツ、ブレルトンとのバトルでカルヴェと同様にパンクを喫し、成す術なく9位でチェッカーを受けた。
依然として、選手権ポイントを303点にまで伸ばしたキスの優位は揺るがないものの、235点の2位ハーンに対し、レンツが223点と猛追。2022年ETRCシーズンも残すは2戦となり、続く第7戦は9月24~25日にフランスのル・マン、ブガッティ・サーキットで争われる。



