そのまま決勝ペース重視の戦略を維持したTGRAに対し、14時20分からの予選ではシボレーYPFチームの王者アグスティン・カナピノ(シボレーYPFクルーズ)と17歳のイグナシオ・モンテネグロ(ルノー・フルーエンスGT)にフロントロウこそ譲ったものの、ここで2列目3番手としたバリオと、7番手に終わったサンテロともに、16時25分に開始される12周スプリントに向け手応えを得るセッションとなった。
予選トップ8リバースのグリッド順により、隣国チリ出身のフェリペ-バリオ・ブストス(ルノー・フルーエンスGT)のポールで幕を明けたレースは、隣に並んだサンテロが労せずしてリーダーの座を手にすることに成功。
周回を重ねるごとに首位の座を確かなものとし、シボレーのカナピノを筆頭にマティアス・ミラ(ルノー・フルーエンスGT)、フランコ・ヴィヴィアン(シトロエンC4ラウンジ)の間で繰り広げられる3番手争いを尻目にリードを拡大していく。
しかし終盤戦に無情のセーフティカーが出動し、残り1周のリスタートで文字どおりの“ファイナル・スプリント”を強いられると、ここで動じなかったサンテロはトップのままフィニッシュラインに到達し、今季土曜3勝目をマーク。最後の接触バトルで王者カナピノがブストスから2位をもぎ取り、FDCモータースポーツのシトロエンに乗るヴィヴィアンも3位浮上でチェッカーを受けた。
明けた日曜の40分+1ラップ勝負は、正真正銘のポールシッターであるカナピノが序盤から盤石のリードを築く展開に。その背後から、同じティーンエイジャーのモンテネグロとともにシボレーを追ったトヨタのバリオは、レース21分が経過したところで大きな機会に恵まれる。
バックストレートエンドで警告のフラッグが振られていたオイルパッチに足元を掬われ、ブレーキングでオーバーシュートしたシボレーを視界に捉えたバリオは、そのまま現役チャンピオンとのバトルを強いられることなく首位浮上に成功。
2番手を死守して追い縋るカナピノと、チームプレーにより後輩モンテネグロにポジションを譲られた2019年王者ペーニャが迫るなか、賢いレース運びを見せたバリオは、終盤フロントタイヤの1本にトラブルを抱えたものの、そのまま首位を守り切ってチェッカー。TGRAの新鋭が逆転でのキャリア2勝目を手にした。
2位カナピノ、3位ペーニャと続いた結果、スタンディング上ではアクシオン・エナジー・スポーツのエースが228点でリーダーの座を守り、203点のカナピノ、199点のベルナルド・ラヴァー(シボレーYPFクルーズ)に続き、198点のサンテロ、167点のバリオが続く状況に。次戦のSTC2000第10戦はシリーズおなじみの耐久戦として、10月1~2日に『ブエノスアイレス200km』が開催される。


