その効果はHMS陣営全体に波及し、日曜決勝は序盤からシボレー・カマロZL1が主導権を握る展開となり、早くも27周目には5番手発進だったラーソンがバイロンからリードラップを引き継いでいく。一方、31周目には右フロントに異変が生じたか、カップ・デビュー戦ネメチェクのカムリがターン2でスピンを喫し、ここで最初のコーションが発生する。
ステージ2に向けてもラーソン&バイロンが隊列を率いるなか、トヨタ陣営からはマーティン・トゥルーエクスJr.(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)が喰い下がり、この後のレース全体を通じてHMS艦隊に勝負を挑む構図に。
その161周目にはプレーオフ・ドライバーのチェイス・ブリスコ(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)がウォールの餌食となり、明けた最終ステージ3は終盤に向けハンドリング悪化に苦しんだバイロンが後退し、フロントロウから並んで勝負に向かったラーソンとトゥルーエクスJr.の一騎打ちに。
残り60周でアンダーグリーンのピットへ向かったバイロンが、サイン間違いでバックを強いられ、再スタートでストールを喫するなど大幅なタイムロスを喫するなか、終盤の二度のコーションがレースの流れを変える。
まず、ピット作業を終えたライアン・ブレイニー(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)が211周目にアクセスロードでスピンを喫すると、ルーティンを遅らせていたラーソンがこのコーションを利用してピットレーンへ。本コース上ではすでにグリーンフラッグ下で作業を終えていたトゥルーエクスJr.とロス・チャスティン(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)がリードを引き継いでいく。
しかし残り23周となる246周目で、今度はタイラー・レディック(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)がルーズになり、インフィールド側ウォールに“正面衝突”してマシンを大破させると、ここで最後のアンダーイエローに。するとピットレーンへとなだれ込んだ『優勝争い』に思わぬドラマが発生する。
「僕はちょうど(先頭を行く)彼の後ろを走っていた。彼(トゥルーエクスJr.)は激しくブレーキを掛けながら左にステアした。そこで僕は彼の後ろにぶつかったんだ」と、ファストレーンでの接触劇について説明したラーソン。
「僕のチームは『彼がボックス側に移るのが遅かった』と言っていたが、それが僕のせいだったとしたら申し訳ない。ここは西日が直接当たるし、汚れたフロントウインドウではストールの状況が判断しにくいんだ。でも彼は間違いなく僕が倒さなければならなかった相手だし、最後のロングランも本当に良かったからね」と続けたラーソン。


