こうして始まった第11戦のレースウイークは、最初のフリープラクティスからホンダ陣営が先行し、エースカーの83号車をドライブするチャンピオン経験者、ファクンド・アルドゥソ(ホンダ・シビックSTC2000)がトップタイムをマークする。
続く予選こそ5番手に沈み、マティアス・ミラ(ルノー・フルーエンスGT)にポールを譲ったものの、そのまま土曜午後に開催されたリバースグリッド採用のスプリント戦では、同じくホンダ・シビックの24号車に乗るマティアス・クラヴェロ(ホンダ・シビックSTC2000)がスタートで抜け出し、チリのフェリペ-バリオス・ブストス(ルノー・フルーエンスGT)やジュリアン・サンテロ(トヨタ・カローラSTC2000)らを抑え、シリーズ初優勝を達成した。
週末を前にランキング2位のサンテロに41点差、同3位のシボレーYPFチーム所属ベルナルド・ラヴァー(シボレーYPFクルーズ)に対して、45点差のマージンを構築していた選手権首位ペーニャは、この日曜ファイナルを前に自身の史上最年長チャンピオン獲得記録を更新する期待が集まったが、その肝心なレースは予想外の決着を見せる。
ポール発進のミラとフロントロウ2番手に並んだ18歳の新鋭ホルヘ・バリオ(トヨタ・カローラSTC2000)に対し、2列目に並んでいたペーニャ、サンテロのタイトル候補は、スタートから1コーナーに到達するまでに対照的な運命を辿り、5番手アルドゥソとFDCモータースポーツのフランコ・ビビアン(シトロエンC4ラウンジ)に絡んだサンテロのカローラ68号車は、競技続行不能なダメージを負い、ここでレースを終えてしまう。
これで楽になったミラがトップチェッカーをくぐり、トヨタの新型TCR車両開発とデビューも任されたバリオが2位、そしてペーニャが3位でフィニッシュしたが、レース後にスポーツコミッショナーからの通達により「バリオのジャンプスタートに対し10秒加算のペナルティを課す」との宣告を受け、カローラの41号車は4位に降格。
代わってこちらも弱冠17歳のイグナシオ・モンテネグロ(ルノー・フルーエンスGT)が3位となり、ルノー陣営がポディウム独占の1-2-3を達成。この瞬間にペーニャが2019年以来自身2度目のチャンピオンを決め、最年長王者記録を47歳に更新する結果となった。
これで残るはマニュファクチャラー・タイトルのみとなった2022年のTC2000シーズン。続く最終戦は、首都ブエノスアイレスから北に約320kmのエントレリオス州、アウトドローモ・コンセプシオン・デル・ウルグアイで争われる。



