「ああ、明らかにガッカリだ。(背後の動きが)僕らの一日を終え、勝利への機会やチャンピオンシップへのチャンスも終わらせた」と慎重に言葉を選び、直接的にインシデントの責任を追及するのを避けたエリオット。「ただただ、失望している」
その一方でチャンピオンシップ4候補同士で相手を撃墜する格好となったチャスティンは、その状況を以下のように説明した。
「ウイリアム(・バイロン)に対しては思うように仕掛けられないと判断したのか、彼(エリオット)はそれをカバーすべく不規則な動きを見せたが、すでに僕は彼の左サイドにいたんだ。ああ、それは僕が彼や彼らと競争したい方法ではないよね」
そしてもうひとりの候補として予選17番手からの巻き返しを期したトヨタのベルは、終盤271周目の同時ピットで19.8秒の作業時間を喫して万事休す。16番手リスタートで10位までの挽回が精一杯となった。
「僕らは懸命に戦い、レースの終わりに……最後のピットストップになると思っていた時点まで、勝利とタイトルのために戦えた。このポジションにいること、ジョー・ギブス・レーシングにいること、そしてこの20号車でレースをすることを誇りに思っている。うまくいけば、また来年もここに戻ってこれるだろう」と、言葉を詰まらせながらも懸命に感謝を述べたベル。
その感情の背景として、このレース直前にはJGR副会長であり、ジョー・ギブスの息子にしてNASCARエクスフィニティ・シリーズ新王者に輝いたタイ・ギブスの父であるコイ・ギブスが、息子のタイトル獲得を見届けた晩、睡眠中に息を引き取るという悲しいニュースに接していた。
「今朝、突然の報だった。チャンピオンシップを目指してレースをしていて、幸せで高揚していたその瞬間に、突然にして世界が崩れ落ちたんだ」と語ったベル。「このようなニュースを受け取るときはいつでも、これにはレース以上のものがあるという見方ができる。ギブス一家全員が、僕らのすべての祈りのなかにいる。僕は今、つねに彼らファミリーのことを想っている」
その後、ブラッド・ケセロウスキー(RFKレーシング/フォード・マスタング)の車両から火の手が上がるなど、今季幾度か見受けられた“Next-Gen”車両の懸念点が露呈する場面もありつつ、269周目にはここ数戦、脳震盪の治療に専念していたアレックス・ボウマン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)が絡んだアクシデントで最後のコーションが発生する。


