このGen3共通パイプフレームシャシーを製造するペース・イノベーションズは、この8月よりブラッド・ジョーンズ・レーシング(BJR)へ初期納入したのを皮切りに、他の9つのチームにも順次デリバリーを進めている段階だが、7日の月曜からはポルシェ・カレラカップ・オーストラリアに参戦するベイリー・ホールとジェイソン・ルートリーが2台のステアリングを握って包括的なVCATテストが開始された。
この6月には、すでに同じ会場で予備的なVCATテストが先行開催されていたが、その際にフォード陣営のホモロゲーション登録を担当するディック・ジョンソン・レーシング(DJR)は、旧型となるS550ボディで参加していた。つまり新型S650でのテストは今回が初であり、フォードとシボレーの両陣営が揃っての同一機会、同一条件での計測も初となった。
その前回データが「プロセスを再確認するのに役立った」というシリーズの技術スタッフらは、風の状況がもっとも良好な状態にあることを考慮し連日午前6時から走行を開始すると、各速度域でのダウンフォース発生量とドラッグ(抵抗係数)を、アクティブなライドハイト・コントロールシステムなど使用し、さまざまな車高とセットアップで測定していった。これら収集されたデータを基に各数値が処理され、最終的なエアロパッケージの仕様が承認されることになる。
「これまででもっとも包括的な新方式のVCATテストは、D2Hアドバンスド・テクノロジーズによって考案された非常に徹底したプロセスであり、今回の日程で実に1600kmを超えるランニングマイレージを消化し、同等の結果を達成した」と、5日間のテストを評価したバージェス。
「こうしたテストを敢行する目的は、究極的には平等と接戦を達成しようとすることに尽きる。スーパーカーとふたつのホモロゲーションチーム(DJRとトリプルエイト・レースエンジニアリング)は懸命かつ緊密に協力しているし、我々はすべてのプロセスと要件を確認することができた。ここから完全な検証と報告を行う予定だ」
今後、シリーズのテクニカルセンターではクルマのスキャンと測定を含むさらなる作業が行われ、オフの期間にGen3車両でテストを実施する全チームにテスト解禁日とスケジュールを通達。12月初旬のアデレード市街地でシーズン最終戦を終えた各陣営は、2023年3月10~12日の『ニューキャッスル500』で新時代幕開けの日を迎える。


