こうして始まった今季最後の週末は、土曜午後のフリープラクティスでグループ分けを実施し、バッジAではシボレーのカナピノ以下、新王者ペーニャ、トヨタのサンテロが続くトップ3に。しかし続くバッジBではそれらのタイムを凌ぎ、今季後半戦はTCRカテゴリーでも活躍を演じた若干17歳、イグナシオ・モンテネグロ(ルノー・フルーエンスGT)が総合トップに躍り出る。
そのまま土曜現地17時を過ぎて始まった予選では、その顔ぶれがそのままポールポジション争奪戦を繰り広げ、王座剥奪の雪辱と言わんばかりに意地を見せたカナピノが、キャリア通算33回目の最前列を獲得。フロントロウにはその王座奪還を果たしたペーニャが並んで直接対決の構図を整え、2列目にはルノーのモンテネグロ、トヨタのサンテロが続くグリッドとなった。
しかし明けた日曜は決勝スタート早々に雨が降り、各陣営が入り乱れてピットストップへ飛び込むなど、序盤戦から波乱の要素を含んだ変化に富むレースが繰り広げられる。
ここで路面の水量などを的確に判断して迅速な決断を示したシボレーYPFチームは、後続に反応するのではなくポールポジションながら能動的戦略でカナピノを呼び戻すと、困難なトラック上でも上位ポジションを守ってコース復帰する。
しかし、その上位勢をも上回ったのが14番グリッド発進だった“伏兵”ファクンド・アルドリゲッティ(フィアット・クロノスSTC2000)で、プライベーターであるFSモータースポーツの29号車はワークスカーのシボレーとTOYOTA GAZOO Racingアルゼンティーナのカローラに乗るサンテロを抑え込み、ファイナルラップまで首位を快走してみせる。
難しい条件下でプレッシャーに耐え続けたアルドリゲッティだったが、背後でカローラとの壮絶なサイド・バイ・サイドを繰り広げたカナピノが迫り、チェッカー目前のところで惜しくも陥落。2番手サンテロとその背後にいたペーニャにもパスされ、4位でフィニッシュラインを通過する結末となった。
さらにチェッカー後には、スポーツコミッショナーから最終ラップの肉弾戦に際するカナピノの動きが「審議対象となった」ことが示されると、サンテロに対する危険な操作に対してカナピノに1ポジションの降格が言い渡され、シリーズ最終戦ウイナーの称号はサンテロの手に渡ることに。
この結果、ルノー陣営のアクシオン・エナジー・スポーツSTC2000が606ポイントでチームタイトルを勝ち獲り、TOYOTA GAZOO Racing YPFインフィニアが490ポイント、同シボレーYPFチームが469ポイントで続く結果に。そしてマニュファクチャラーズタイトルでも512ポイントとしたルノーがチャンピオンに輝き、同496ポイントのトヨタ、469ポイントのシボレーが続き、ルノーが主要3部門を制覇するシーズンとなった。



