更新日: 2023.01.06 16:30
予選2列目獲得のミケル・アズコナが初王座。決勝はジル・マグナスが“最後の勝者”に/WTCR最終戦
その予選セッションを終え、チャンピオンとしての言葉を求められたアズコナは、地元への思いとともに、ヒョンデ移籍初年度での戴冠に改めて感謝の意を示した。
「僕が生まれ育った村は人口2000人足らずの小さな集落だが、その大勢がこの瞬間を見届けてくれているはずだ」と、地元の村役場ではパブリックビューイングが実施されていることに触れたアズコナ。
「僕がチームに加入した最初の瞬間から、ノルビ(ミケリスの愛称)との初日以降メカニックやバックオフィスのメンバーまで、チームの全員が僕を暖かく迎え歓迎してくれた。善良な人々の隣にいれば、良いことがやってくる。レースウイークだけでなく、月曜から金曜のウイークデイまでチームのすべての仕事に感謝したい」と続けた新チャンピオン。
「そして、素晴らしいシーズンを一緒に過ごしてくれたノルビにも感謝しなければならない。彼は素晴らしいチームメイトであり、素晴らしい友人なんだ。そんな面々が自分の周りにいるなんて信じられないよ。このような人々の周囲にいれば良いことが起こり、このトロフィーは彼らのおかげだと思う。ヒョンデ・モータースポーツとBRCには深い感謝を捧げつつ、今、僕は世界チャンピオンであり……素晴らしい気分だ」
明けた日曜夜のレース1は、今季初ポールを獲得したベルトンが背後のミケリスから再三のアタックを受けながらも、28周を走破して“ライト・トゥ・フラッグ”での今季2勝目を獲得。「ノルビは気楽ではなかった。彼は僕に多くのプレッシャーを掛けてきたし、ひとつのミスでポジションを失っていたはずさ」と、3位に続いた僚友コロネルとともにポディウムに登壇したベルトン。
続くレース2は、リバースの6番手発進からオープニングで僚友ヴィクトル・ダヴィドフスキーや新王者アズコナをパスしたマグナスが、すぐさま4番手に浮上。すると3周目には前方のフランコ・ジロラミが、2番手キャッツバーグのヒョンデに無謀なダイブを仕掛け、首位にいたアッティラ・タッシ(リキモリ・チーム・エングストラー/FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR)をも巻き添えに、クラッシュを喫する展開に。
これで悠々と首位浮上に成功したマグナスは、終盤にチームメイトのベルトンがハフと絡んだことで、セーフティカーが発動したままのチェッカーとなり、ダヴィドフスキーとアズコナを従えたマグナスがWTCR最後のレースウイナーに輝いた。
「ナス(ベルトンの愛称)は本当に残念だった。彼が順位表の2位にいるのが見たかったし、チームにもワン・ツー・フィニッシュをプレゼントしたかった。でも今は言葉では言い表せないくらい幸せで、フィニッシュラインを越えたときは本当に感動的だったよ」と続けた“ラストウイナー”のマグナス。
「これよりも大きな勝利を収めてきたが、今夜は本当に感情的な勝利だ。今季もっともタフなレースだったかもしれないし、これが昼だったら最後までやり切れたかどうかわからなかったよ」
前述のとおり、来季より世界中のTCRシリーズから名物イベントを指定する『TCRワールドツアー』に移行するシリーズは、ジェッダでのレースウイークを終えて2023年のTCRヨーロッパ序盤3戦の編入をアナウンス。これにより、開幕戦は4月28~30日のポルトガル・ポルティマオが予定され、ベルギーのスパ・フランコルシャン、ハンガロリンクと続くカレンダーに。現状、シーズン終盤にはオーストラリアを代表する聖地、マウントパノラマでのバサースト・インターナショナルを含む全8戦が計画されている。