更新日: 2022.12.13 14:13
50歳を迎えたルーベンス・バリチェロ、週末の復活劇で自身2度目の最年長王者に/SCB最終戦
しかし最終的にカットライン15番手でQ2進出を果たしたバリチェロは、ここが分岐点となりラバーインの進んだ路面で息を吹き返し、自身のQ2アタック終了時点でトップタイムを叩き出すと、最終的に5番手でQ2突破を確定。ポールを争った最後のセッションでは、伏兵とも言えるサンパウロ出身の19歳、フェリペ・バプティスタ(KTFスポーツ/シボレー・クルーズ)がキャリア初ポールを奪取する。
フロントロウにはこの週末が所属するA.マティス・フォーゲルでの最後のレースになるロッシ、3番手にユーロファーマRCのエースで父チコ・セラのタイトル獲得記録更新を狙うセラと、直接のライバルには先行されたものの、バリチェロ自身も2列目4番手を確保して、ポールまで0.217差とパフォーマンスを大きく改善することに成功した。
「15番手でのQ1突破が限界だったが、ギリギリの緊張感が味わえて満足だ(笑)。あらゆる感情とともにこの瞬間を生きられて光栄だし、こんな勝負は本当に“テイスティ”だね!」
そして今季最後の日曜となった午後は、両ヒートとも30分+1周のスプリント戦が実施され、オープニングでは新鋭バプティスタが初ポールをそのまま勝利に変え、同カテゴリーで75番目の勝者に。美しいポール・トゥ・ウインを決めた19歳とは対照的に、隣からスタートを切ったロッシはピットストップ中のアクシデントでデニス・ナバーロ(カバレイロ・スポーツ/シボレー・クルーズ)と絡み後退。2位セラ、3位バリチェロが表彰台の脇を固める結果となった。
続けて開催された最終レース2は、リバースグリッドの優位を活かしたシリーズ3冠経験者のリカルド・マウリシオ(ユーロファーマRC/シボレー・クルーズ)が今季5勝目、キャリア通算35勝目を飾り、シーズン最多勝ドライバーになると同時に、2年連続最終戦勝利で1年を締め括ることに。
背後ではネルソン・ピケJr.(モチュールTMGレーシング/トヨタ・カローラ)とセザール・ラモス(イピランガ・レーシング/トヨタ・カローラ)が表彰台を得るなか、バリチェロ、セラ、カサグランデらタイトル候補にはアクシデントの連鎖が襲うことに。
序盤の混乱でマシンにダメージを負ったバリチェロはなんとかコースに留まったものの、カサグランデの失格処分を無線で知らされた瞬間、トップ10圏外の11番手にいた大ベテランの2014年以来となるシリーズチャンピオンが確定。チェッカーを待たずにコクピットのなかで涙を流した男は、50歳と6カ月18日の史上最年長記録を打ち立てて、南米最高峰ツーリングカーSCBの新チャンピオンに輝いた。
「さあ、お祝いの準備はいいかい? 僕を応援してくれる多くの人に感謝しなければならない。人生で最も幸せな日だ!」と、震え声のまま感涙の表情で絞り出したバリチェロ。
「本当に感謝の気持ちでいっぱいだ。まだ勝利は飾れていないが、僕はインテルラゴスが大好きで、そして僕にとってもうひとつ重要なトラックであるゴイアニア(大の得意サーキット)で選手権首位に昇格できたことが大きかった」と、これで今季3勝と7回の表彰台を数えた新チャンピオン。
「僕らはつねに“些細な問題”を抱えているが、この瞬間はすべてから解放される。この機会が活かせて幸せだし、愛する人々と一緒に、このインテルラゴスが与えてくれたものを噛み締めたい……」