出走27名中、実に21名がコーションに巻き込まれるなか、オースティン・ディロン(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)と、その新たな僚友ブッシュが乱高下のレースを展開し、ブッシュは残り64周でロガーノに押し出されてスピンオフを喫するも、最後尾から3位までカムバック。一方のディロンも、この日40周をリードしたダレル“バッバ”ウォレスJr.(23XIレーシング/トヨタ・カムリ)と何度も接触したことを「不快に思った」だけでなく、残り7周で2位だった23号車カムリを仕留める一幕も演じた。
「僕自身、バッバのためにも(プッシングを)嫌っていた。彼は良いクルマをもち、良い走りをしていたからね」と語った2位のディロン。
「でも、誰が彼を押しているのか、あるいは押されているのかはわからない。彼が僕をコーナーで押し込んだことは知っているが、僕もそこで3回はセーブし、ブレーキを解除した。昨年から全員が良くなったから同等に近かったし、彼にとっても(その動きは)少し難しすぎたんじゃないかな」
同じくチームメイトのブッシュも、ここL.A.での初開催だった初年度とは異なり「今日は惨事と呼べる状況だった。みんなが互いを軽視し、すれ違い、すべてがうまくいかなかった」と混沌のレースを振り返った。
「昨年のショーは比較的クリーンで良いレースだったように感じた。ぶつかったりぶつけられたりしていたが、グリーンフラッグのアクションで長く走らせることができていた」と続けたブッシュ。
「ここはタイトな4分の1マイルで、これがおそらく普通のやり方なんだろう。最初の年は良いショーで甘やかされ過ぎた。NASCARが1年前にコロシアムに到着したとき、それは新しいトラックであり、シリーズも初めて新しいクルマを導入した。これが普通だったのかもしれないね」
コロシアムでの最初の『ブッシュ・ライト・クラッシュ』は1時間以内に終了し、全体のコーションはわずか5回だった。それが一転「6周するのに45分かかるのは大変だ」と4位アレックス・ボウマン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)が語るとおり、ルーキーのノア・グラグソン(レガシー・モータークラブ/シボレー・カマロ)も「日曜の夜はただのピンボール・マシンだった」と語り、JGRトヨタのベルも「僕らは一晩中洗濯機にいた」と、16回のイエローで1時間43分を費やした決勝を評した。
そんななか、コーションのレポートに記載されていない6名のうちのひとりとなったトゥルーエクスJr.は、残り25周でカップ復帰のライアン・プリース(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)からリードを奪うと、終盤2度のイエローも乗り越えチェッカー。『ブッシュ・ライト・クラッシュ』初勝利を手にした。
「今日は本当に良いレースカーだった。彼らはこの19号車で素晴らしい仕事をした」と喜びを語ったトゥルーエクスJr.。
「昨年は僕らにとって勝利のない厳しいシーズンだった。最多ステージウイン、500周以上のリードラップにより、レギュラーシーズン終了時点で5位以内にいる統計的な堅調さはあったが、勝つために必要なすべてのことを実行していたから、本当にイライラした」
「今夜はあきらめず戦い抜いて、最終的に適切な場所にいることに集中した。思いどおりに進み、いくつかの良い調整も実施できた。僕は『決心しただけ』だし、腹の底では昨年やったことを変えるためのたくさんの火がついている!」
こうして幕を開けた2023年のNASCARカップシリーズだが、2月16日には伝統の1戦に向けた出場枠を争う“デュエル”が催され、同19日にはフロリダ州デイトナビーチにて、開幕戦『デイトナ500』が争われる。



