更新日: 2017.02.15 13:16
佐藤琢磨、アンドレッティ・オートスポートでの初テストに手応え十分
■プログラムの変更が琢磨にも影響
ロッシはマシンの修復が間に合わず、走行を再開することはできなかった。4台が3台に減ったことで、チームは分担していたプログラムの変更を余儀なくされた。そして、その影響はどうやら琢磨にも及んでいたようだ。
琢磨は自己ベストを最終セッションに記録しているが、涼しいコンディションのナイトセッションでも彼らは予選シミュレーションを行っていた。そして、走行時間が残り1時間と少しとなった時点で、琢磨はロッシとほぼ同じカタチでターン1でコントロールを失い、リヤから壁に突っ込んだ。
「突然リヤが流れた」と幸いにも身体は無事だった琢磨は状況を説明していた。
多くのチームがトラフィックテストを行い、オーバーテイクの難しさを指摘していた。予選順位の重要性は極めて高く、そのためにアンドレッティ・オートスポートをはじめとするホンダ・チームは夜のセッションでも予選シミュレーションに果敢にチャレンジしていたということだろう。
心配なのは、琢磨の精神的なダメージだ。昨年のフェニックスで彼はレースウイークエンドの最初のプラクティスで大きなアクシデントを経験している。空力セッティングの間違いからターン1でマシンが突然オーバーステアになり、なんの対処もできないままウォールにハードヒットしたのだ。今回は空力セッティングを攻め過ぎてしまった結果だろうが、フェニックスのターン1~2に対して精神的なトラウマを持つことにならないかが心配だ。
■ビッグチームでの参戦に手応え
アンドレッティ・オートスポート4台の合計ラップ数は774周と、ペンスキーやガナッシと比較すると1台分以上少なく、2台がクラッシュした影響はやはり小さくはなかった。しかし、アクシデントがありながらも、琢磨はチーム内で最も多い243周をこなしていた。チームに対する貢献度は小さくなかったはずだ。
「アクシデントでテストが終わりとなって、何か悪い印象になってしまうのは残念。僕たちのテストはとても順調に進んでいた。チームメイトが3人いるので、テストプログラムは分担されていて、自分たちは予定されていたアイテムをほぼすべてトライすることができていた」
「去年までのチームにはエンジニアが3人しかおらず、各レースに向けた準備を整えるので精一杯だったけれど、アンドレッティ・オートスポートにはたくさんのエンジニアがいるので、開発プロジェクトは幾つもが同時に進行していて、先へ先へと準備を進めていくことができる。今回のテストでも、最初からマシンはとても高いレベルにあった。昨年のうちにタイヤテストなどに参加し、走行データを持っているからだ」と大型の強豪チームで戦うシーズンに手応えを感じていた。
シミュレーターを使ったテストなど、サーキット以外で行えるプログラムはある。琢磨は率先してそうした仕事に取り組み、チームとの関係強化、信頼性醸成に務めている。
アンドレッティ・オートスポートは、4台揃ってのストリートコース用テストを開幕を目前に控えた3月初旬に予定している。そして、迎えるシーズン最初のレースはセント・ピーターズバーグでのストリートで開催される。2014年にポールポジションを獲得している通り、このコースが琢磨は得意だ。チームメイトのライアン・ハンター-レイも優勝経験を持つコースだけに、アンドレッティ勢の活躍が期待できるだろう。