「どんな状況でもコース上にいる他の人たちと同じように、クルマを最大限に活用できることを理解し、コクピットのなかで快適に過ごしたい」と、デビュー戦の地COTAでは5回のF1出走を経験するバトン。

「結果は結果であり、何が起こるか見ていきたいと思うけれど、好きなだけ遅くブレーキをかけ、高速コーナーでスピードを維持し、接近してレースできるようになる自信をつけたいんだ。僕もパックの中で“ホイール・トゥ・ホイール”の勝負ができるようにね!」

 今回の挑戦でサポートを提供するスチュワート・ハース・レーシングの共同オーナーであり、言わずと知れた“レジェンド”として自身も多彩ぶりを発揮するトニー・スチュワートは、ドライバーとして未知の世界に対するバトンの試みを賞賛する。

「新しいレースの分野を試すことはつねに挑戦であり、自分自身にこうした新しい機会をもたらすことができる最善の方法は、いつだって心を開いていることだ」と続けたスチュワート。

「ジェンソンはキャリア全体でそうしてきた。F1マシンは毎年進化しており、ジェンソンはいつもそれに適応する方法を見つけてきたんだ。そしてF1を離れたとき、彼はスポーツカーに飛び乗り、別のチャンピオンを獲得した。オフロードでさえ豊富な経験を持つ彼が、レースカーで経験していないことはほとんどないね。ジェンソンにとってNASCARは初めてだが、レースは初めてではない。これは我々全員にとって楽しいものになるだろう。これを実現してくれたモービル1には非常に感謝している」

 そのイギリス出身F1王者が本戦でドライブするNext-Gen車両は、バトン自身もHMSのプロジェクトを通じて構造や特性に精通する段階までラップを重ねており、すでにセブリング、デイトナ、COTAでガレージ56用シボレーを走らせている。

「ガレージ56のクルマに初めて飛び乗ったときは『これは一体、どうした!?』と思ったほどさ。それほど、このクルマはまったく違うものだった。それが最初の4周ほど続いたよ(笑)」と明かしたバトン。

「それから『ちょっと待って、これは当然レースカーなんだ。路面に触れるタイヤは4本だし、機械式のレースカーで学習には本当に適している』ってね。僕はこの挑戦を本当に楽しんでいるし、カップカーはダウンフォースが少なくて重いけれど、あのガレージ56のマシンがその方向性とともに、どのようになるかを教えてくれたんだ。これは非常に役立ちそうだよ」

 10年ほど前のパドックでは、どの関係者にも「NASCARドライバーはサーキットを走り回ることができない」との固定観念が存在していたが、バトンは「彼らはそうではないと示し、それができることを証明した」とも続ける。

「僕自身、最初のレースでは予選で最前線に立つことを期待されていないし、勝利のために戦うことも期待されていないと知っている。カップシリーズでレースをしているドライバーたちには、とても敬意を払っている。オーバルコースでもロードコースでも、そこにはたくさんの才能があるんだ」と、今回のCOTAではライコネンを筆頭に、2020年カップ王者チェイス・エリオット(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)の代役として起用されるジョーダン・テイラーらとも、同じ立場で対峙するバトン。

「最近、元F1ドライバーがストックカーに乗るたびに、最初は苦労する(笑)。彼らがスピードを出すには時間が掛かるし、すぐに最前線に立つことは期待できないんだ。だからこそ、僕にとって複数のレースを戦うことが本当に重要であり、自分自身とクルマを最大限に活用することができるはずさ!」

2023年のNASCARカップシリーズ第6戦『エコパーク・オートモーティブ・グランプリ』にて、キミ・ライコネンとの元F1王者対決が実現する
2023年のNASCARカップシリーズ第6戦『エコパーク・オートモーティブ・グランプリ』にて、キミ・ライコネンとの元F1王者対決が実現する
「カップシリーズでレースをしているドライバーたちには、とても敬意を払っている。オーバルコースでもロードコースでも、そこにはたくさんの才能があるんだ」とバトン
「カップシリーズでレースをしているドライバーたちには、とても敬意を払っている。オーバルコースでもロードコースでも、そこにはたくさんの才能があるんだ」とバトン

本日のレースクイーン

林れむはやしれむ
2025年 / スーパーGT
マツキヨココカラアンバサダー
  • auto sport ch by autosport web

    RA272とMP4/5の生音はマニア垂涎。ホンダF1オートサロン特別イベントの舞台裏に完全密着

    RA272とMP4/5の生音はマニア垂涎。ホンダF1オートサロン特別イベントの舞台裏に完全密着

  • auto sport

    auto sport 2025年6月号 No.1608

    [特集]レッドブル 角田裕毅
    5つの進化論

  • asweb shop

    STANLEY TEAM KUNIMITSUグッズに御朱印帳が登場!
    細かい繊細な織りで表現された豪華な仕上げ

    3,000円