こうして第2戦の会期が目前に迫ったレースウイーク水曜には、週末のアルバートパーク戦を控えアルピーヌF1のピエール・ガスリーとエステバン・オコン、そしてリザーブドライバーを務める地元出身のジャック・ドゥーハンが、恒例のスーパーカー・ライドを満喫。
一足早くアデレードで旧規定ホールデンをドライブしたバルテリ・ボッタスに対し、両チームを支援する『カストロール』によるフィルミング会場となったカルダーパークには、最新のレースカーであるティックフォード・レーシング製の第7世代『フォード・マスタング・スーパーカー』が用意され、フランス出身デュオを含む3名のドライバーたちは、週末にトーマス・ランドルが実際にドライブする55号車のステアリングを握った。
「これは本当に狂ってる! 初めてこの“Beast(ビースト)”をドライブできたのは、本当に素晴らしい経験だった」と、すぐに笑顔を見せたガスリー。
「実はオーバルを走るのも初めてだったし、その経験も信じられないほどだった。短すぎてストップするため戻ってきたとき『もう10周はしたい』と思ったよ(笑)。とても印象的なクルマだし、これまでドライブしてきたものとは大きく異なっていたから、本当に楽しかった!」
当日のメルボルンは雨模様だったこともあり、このクルマでレースを戦うランドルを前に、オコンは「責任感を感じていた」との重圧も明かした。
「間違いなく最高の気分だった。クルマは明日にもレースをするし、そんな状況を経験をするのはクールだ。だから僕たちは大きな責任を負っていたんだ」と続けたオコン。
「ここはオーバルで、今日は少し路面も濡れていたからウエットタイヤを履いていたが、加速は非常に速く、間違いなく本物のスーパーカーだった。僕は以前にクローズド・コクピットの車両でレースした経験があるけれど、僕が試したなかでもトップ級の性能だ。シミュレーターではバサーストをよくドライブするが、いつの日か現実に体験したいね!」
こうして始まったF1併催戦の週末は、木曜から日曜まで4日間のタイムスケジュールで、各日にスプリント戦を実施する変則スケジュールに。そのアルバートパークでは、走り出しとなったFP1からクラッシュが相次ぎ、ターン5でコースオフしたティム・スレイド(プレミエアー・レーシング/シボレー・カマロZL1)が車両を大破させたのに続き、王者SVGまでもがダメージを負い赤旗の起因となってしまう。
この修復でFP2を回避し、予選でもアントン・デ・パスカーレ(ディック・ジョンソン・レーシング/フォード・マスタング)にポールポジションを譲ったチャンピオンだったが、まさかのアクシデントから立ち直り、3番手発進としたレース1では見事な復活劇を披露。スタートで2番手コステッキを仕留めると、ターン3の攻防でシェルVパワー・レーシングのマスタングも撃墜し、早くもシーズン2勝目を手にした。


