フォード陣営NAPAレーシングUKが席巻。ヒョンデのトム・チルトンも4年ぶり勝利/BTCC開幕戦
続くレース2も波乱の展開となり、表彰台を争うためにはタイヤの選択が極めて重要であることが判明。上位集団の大半がドライアップの路面を見越してスリックタイヤでスタートを切ったものの、直後にふたたび雨が降り始めるとすぐさまポジションダウン。
ここで名門ウエスト・サリー・レーシング(WSR)移籍の新加入アダム・モーガン(チームBMW/BMW 330e Mスポーツ)と、王者の僚友トム・チルトン(ブリストル・ストリート・モータース・ウィズ・エクセラー8/ヒョンデi30ファストバック Nパフォーマンス)がいち早くレインタイヤに換装し、滑りやすいコンディションの中で状況を改善してみせる。
これで首位を奪ったWTCC世界ツーリングカー選手権経験者のチルトンが、モーガンを従えて4年ぶりにBTCCでの勝利を挙げ、長い不振のトンネルから脱出。3位にもチルトンの僚友で同じ戦術を採ったルーキー、ローナン・ピアソン(ブリストル・ストリート・モータース・ウィズ・エクセラー8/ヒョンデi30ファストバック Nパフォーマンス)が入ったものの、レース後の再車検で最低地上高違反が発覚して敢えなく除外処分に。代わってサム・オズボーン(NAPAレーシングUK/フォード・フォーカスST)が自身初のBTCCポディウムを得る結果となった。
「このシリーズで勝つことは至難の業で、ここ数年厳しい年を過ごしてきたが、その踏み石の上でようやく栄光を取り戻すことができた」と、喜びを語ったレース2勝者のチルトン。
「アウトラップでは100%スリックだったが、グリーンが振られてレースラップを走り始めるとすぐターマックに“トラムの線路”が見え始め、頭の中で警鐘が鳴った。それで『すぐにウエットを準備してくれ』ってラジオで叫んだよ。『今すぐ付け替える、今すぐ付け替える』ってね」
引き続きウエット路面となった最後のレース3は、フロントロウから発進したフォードの2台で明暗が分かれ、カミッシュが“ライト・トゥ・フラッグ”を決めてこの週末の2勝目を記録。一方の予選最速ロウボトムはふたたび隊列に飲み込まれ、ターキントン、サットン、ヒルと猛者たちを仕留めたイングラムが、さすがのドライブで2位に入賞。同じくターキントンへの逆襲を決めたサットンが最後の表彰台に立った。
「昨日は計画どおりに行かなかったが、今日は満面の笑顔さ」と、強豪ひしめく勝負のなか2勝をさらったカミッシュ。「スタート前には予選5番グリッドは『充分ではないかもしれない』と考えていたが、思い起こせばちょっとしたショックから12カ月が経ち、こうして2勝で立ち直れたのは素晴らしいことだ」
「レース2は雨の中でスリックを履いていて面白かった。チャンスはあったが(タイヤ交換のため)コールしなければならず、集団がセーフティカーのもとでピットインしたとき自分が悪い場所にいることに気づいた。当然、ここでも勝利を狙っていたけど、リバースグリッドのことを考えるべきだったね」
これでランキング首位に立ったカミッシュを、王者イングラムとBMWのヒルが追う展開となった2023年のBTCCシーズン。続く第2戦は5月6~7日にブランズハッチのショート版インディ・サーキットで争われる。