明けた土曜は大方の希望どおりにドライでの勝負が実現すると、ここで躍動したのはこちらもルーキーのヴィクトル・アンダーソン(MA:GP/リンク&コー03 TCR)で、シリーズわずか2戦目の19歳は、父マティアスが昨季までSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権でドライブしていた機材の性能を存分に引き出し、世界的に有名なフランスのストリートサーキットでポールポジションを獲得した。
「この週末はドライでの走行時間が少なくずっと不安だったけど、乾いていた路面でいろいろ試してみたら、かなりうまくいった」と、初挑戦の市街地を攻略したアンダーソン。「昨日は1日中ひどい天気だったから(予選では)毎分勉強して、最終的には最大限の力を発揮してポールを獲得できた。毎分勉強して、ドライブ自体はとても気持ち良かったよ」と手応えを語ったアンダーソン。
「でも、少し異なる戦略を持ったトム(コロネル)が、明日のリバースグリッドポールを獲得したのも理解している。ここでの追い抜きのが難しいのは分かっているが、同時に間違いも起こりやすい。明日はスタートが勝負だね」
そう語ったアンダーソンに対し、当のコロネルはシーズンに向けたより大きな戦略の一環として、リバースポールを狙った意図を明かした。
「もちろん、追い抜きが難しい市街地で最前列を確実に獲ることも重要だが、何よりも(次戦)スパ・フランコルシャンに向けてウエイトを減らす必要がある。厳しい上り坂と長いコースでは、何よりもそれが重要だ」と続けたコロネル。
「レース2でのポイント獲得に優位なことに加え、予選ポイント(上位7台に付与)を回避してウエイトを免れることができる。予選ポイントは譲るけれど、それはそれで構わない。レースでは簡単に返してもらえるんだ」
迎えた日曜のレース1は、スタートが重要だと語っていたアンダーソンのリンク&コー03 TCRが、まさかのバッドスタートで12番手まで後退すると、そのままオープニングラップでピットへ。シグナルグリーンのラインオフ時にドライブシャフトが故障したことが判明し、無念のリタイアを喫してしまう。
これで首位を譲り受けたのが2番手スタートのボルコヴィッチで、レース中は地元ワイルドカード枠ドライバーのラップダウン処理に「心底、神経を使った」と語りつつ、パウエルやTCR UK出身のアイザック・スミス(ボルケーノ・モータースポーツ/アウディRS3 LMS 2)らを抑え、シリーズ通算4勝目を挙げた。


