ここでクプラ・レーシングのカスタマー部門に車両を発注、開幕戦への納入は間に合わないことが見込まれ、当初よりこの第2戦フィリップアイランドに向け照準を合わせてきた。
「カール(・コックス代表)の素晴らしいサポートがなければ、これはどれも不可能だっただろう。11月に遡るが、アウディとMPC(メルボルン・パフォーマンス・センター)チームでの経験を考慮し、僕らはクプラを選択した。彼らはオーストラリアでクルマの販売を開始したばかりだったが、現状シリーズでクプラを走らせているのは僕らだけだからね」
こうして始まった週末は、新王者トニー・ダルベルト(ホンダ・レーシング・チーム・ウォール/FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR)が2回のフリープラクティスを制圧。今回はホンダ優勢で進むかと思われたが、その勢いはここまで。予選ではヒョンデのバカンがポールポジションを獲得すると、そのままレース1を制覇。明けた日曜は早朝の霧でタイムスケジュールが遅れるなか、最終レース3でも“ライト・トゥ・フラッグ”を決め、週末2勝を飾る結果となった。
「素晴らしかったね」と、フィリップアイランドでの戦果に手応え充分のバカン。「レース1からグレートな結果が得られたが、日曜は本当にそれをバックアップしたかった。その戦績は『1度切りじゃない』ってね。僕らはここに戻って来られたんだ」と、喜びを語ったバカン。
一方、日曜午前に開催されたリバースグリッドのレース2では、今回より昨年の同地で勝利を飾った元ファビアン・クルサードの車両を導入した30歳のブラッド・ハリス(エクスクルーシブ・スイッチボード/FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR)が最前列からスタートを切るも、オープニングでジョーダン・コックス(プジョー・スポール・GRMチーム・バルボリン/プジョー308 TCR)が先行。それをクレメンテのクプラが追う展開に。
7周目以降、たびたび首位を入れ換えながら続いた勝負は、最終ラップでコックスのインを狙ってリードを奪ったクレメンテが、両車接触のバトルを制してトップチェッカー。最後の3位表彰台には新生TCRワールドツアーの登録メンバーでもあるGRMのベン・バルグワナ(プジョー308 TCR)が続いている。
「この結果には言葉がない。クルマやファミリーとともにここでデビューするのを長い期間の目標にしていたから、そこで勝利が飾れて本当に感動だ」とクレメンテ。
一方、予選5番グリッドを獲得していたリンク&コー03 TCRのオリファントは、土曜最初のレースでタイヤトラブルに見舞われる無念の展開に。日曜は双方ともに11番グリッドからスタートを切り、トップと同等のラップタイムでレースを進め、最終的にそれぞれ8位と9位でフィニッシュしている。
続くTCRオーストラリアの第3戦は、6月9~11日にウイントン・モーターレースウェイで開催される。


