迎えた日曜決勝は、レース1から“万能感を与えてくれる”フォーカスSTで挑んだサットンがライバルを駆逐する展開となり、フロントロウ発進から出遅れたイングラムにも助けられ、後方のソフト勢に対しミディアムコンパウンドを履いていた元王者が、終盤のヒルの挑戦も退けてのポール・トゥ・ウインを飾った。
一方、24番手からハードタイヤで臨んだカミッシュも、後方集団から抜け出してトップ10の背後までカムバック。続くレース2はソフトタイヤを選択したサットンが、ヒルやターキントンら後続の集団を引き離して快適な勝利を収め「NGTC時代に4つのレースで優勝することは並大抵のことではなく、すべてチームの努力の賜物」と語ったサットンが、前戦から続く連勝を“4”にまで伸ばしてみせた。
そして週末最後のレース3では“グリッド・ドロー”で首位発進となったステファン・ジェリー(チームBMW/BMW 330e Mスポーツ)に対し、オープニングで“もう1台のフォード”ことダニエル・ロウボトム(NAPAレーシングUK/フォード・フォーカスST)が仕掛け、早々にリードを奪う。
しかし背後からアダム・モーガン(チームBMW/BMW 330e Mスポーツ)やジェリーらのBMWを仕留めたイングラムが迫ると、5周目の“リッチズ”でインを刺し、ここで首位浮上に成功する。
さらに満を持してのソフトタイヤを投入したカミッシュも、同じくソフトを履くスピードワークス・モータースポーツ(SWM)のロリー・ブッチャー(TOYOTA GAZOO Racing UK/トヨタ・カローラGRスポーツ)とともにチームメイトを捉え、今季初優勝のチェッカーを受けたイングラムに続き、2位カミッシュ、3位ブッチャーのオーダーでフィニッシュを迎え、予選での傷を最小限に留めるカムバックとなった……かに見えた。
しかしレース後の再車検でNAPAレーシングUKの27号車は「最低地上高検査で不合格」となり、表彰台剥奪というまさかの結果に。ほぼ大逆転に近い挽回を完了したと思われたカミッシュは、タイトル挑戦に向けた貴重なポイントを失うこととなってしまった。
「土曜はバリアに張り付いて気落ちしていたが、日曜はできる限りの反撃をして、最後はトム(・イングラム)をあと1周で刺せるところまで挽回した」と、これでランキング4位に後退したカミッシュ。
「トラックリミットであろうと再車検の不合格であろうと、全員がオンルールだ。これはチームスポーツであり、昨日は負けた僕を誰も責めなかったし、今日はチームとしてレースし、チームとして勝ち、そしてチームとして負けたんだ。僕は彼らを誇りに思っている」
続く2023年BTCC第4戦は、そのカミッシュが得意とする最速トラックのスラクストンで、6月3~4日の週末に開催される。


