更新日: 2023.05.27 11:43
今季も“怪物”トラックの饗宴、ETRC開幕。オープニングは”帝王”ハーンが制し、王者キスも2勝
サーキット上空には灰色の雲が垂れ込め、今後さらに雨が降ることを示唆する天候のなか、ポールシッターのキスは典型的な2022年のレース運びでオープニングヒートを開始したものの、2周目突入を前に真紅のMANは急速にスピードを失い始め、そのままターン1で停止。メカニカルトラブルによりここで早くも姿を消してしまう。
ライバルが戦いから離れたことで、ハーンは誰も縮めることができない快適なリードを築き、2番手はハルムが引き継いだが、アルバセテからの大きなプレッシャーにさらされ、終盤にはポジションを明け渡すことに。
そのまま、なんとか表彰台最後のポジションを維持したかった彼女にも悲劇が襲い掛かり、残り3周でチーム・シュバーベントラックのイベコはパンクの疑いから白煙を噴き上げ、ハルムはレースを続行しようとするも、最終的にはダメージが大きすぎて断念。代わってクルシムがポディウムに滑り込む結果となった。
続いてトップ8リバースで始まったレース2は、ギヤボックス交換の必要が発覚したハルムがスタートを見送るなか、王者キスが最後尾発進から怒りの挽回を披露。
わずか3周でトップ5に浮上し、4周目までにトップを争う典型的なレンツ対キスの戦いに持ち込むと、濡れた路面によるラインとグリップを有利に活用した王者が逆転。最終的にレンツに約17秒差をつけて今季初勝利を収め、3位にはアルバセテとのサイド・バイ・サイドを0.4秒差で制したハーンが入った。
明けた日曜は早朝から太陽の輝く快晴に転じると、前日同様レンツを打ちやったキスが定位置のポールを確保。3番手ハーンに、トラック修復なったハルムのイベコ陣営がセカンドロウに並ぶ。
レース3はスタートダッシュこそ先頭2台が互角の勝負を繰り広げたものの、その後はチャンピオンの“横綱相撲”となり、3位ハーン、4位ハルムのオーダーでチェッカーを迎えた。
週末最後となるレース4は、終盤までリバースグリッドの優位を保ったプロモーターズカップ登録のホセ-エドゥアルド・ロドリゲス(ロボコノーテ・レーシング・トラックチーム/MAN)とステファン・ファース(タンクプール24レーシング/スカニア)が粘り抜き、初の総合優勝を飾るかと思われた。
しかし、ふたりのインディペンデント組を襲ったのはアルバセテの新型MANで、そのまま勝利を飾ったスペイン出身のベテランが週末の新たなウイナーとなった。
前述のとおり第2戦予定地だったハンガリーはキャンセルとなり、現段階では6月10~11日のスロバキアリンクが続くラウンドに指定されている。
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