更新日: 2023.05.30 23:22
リンク&コー駆るエルラシェールが新世代TCR世界戦初勝利。ヨーロッパ組ジョン・フィリピは大金星
「簡単そうに見えても、ベブ(ジロラミの愛称)が僕の後ろでプッシュしていたし、そんなにコントロールできたわけじゃない」と謙遜した総合勝者エルラシェール。
「残り2周くらいで大きな(タイヤのグリップ)落ちを感じたが、僕のクルマが彼をスリップで引かないよう安全なギャップを維持したかったんだ。彼のシビックは最高速に優れているからね」
一方、チェッカー目前まで僚友パウエルの背後で5番手を維持していたコロネルは、ファイナルラップでチームからスローダウンするよう求められ「(コムトゥユーの)GTテストに乗せてくれるなら」との同意を得て、世界戦登録のロブ・ハフとフレデリック・バービシュを先行させフィニッシュ。予選での自身の発言をあっさり翻意する、憎めない“らしさ”も披露した。
明けた日曜現地11時30分開始のレース2は、予選トップ10リバースの好機を活かしたフィリピが躍進。WTCC時代は4位2回が最高成績で、WTCRでの最高位は5位、そして2019年から散発的に参戦するTCRヨーロッパでは3勝を挙げているフランス出身ドライバーが、開幕戦でシリーズ初代ポールシッターとなったノルベルト・ミケリス(BRCヒョンデN スクアドラ・コルセ/ヒョンデ・エラントラN TCR)やコロネルらの攻防を尻目に大金星を挙げる結果となった。
「長い間、この瞬間を待っていた! 世界的なカテゴリーで、とくに経験豊富で非常に強いノルビ(ミケリスの愛称)やトムのようなドライバーの前でゴールするのは信じられないほどの気分だ」と喜びを語った総合勝者フィリピ。
「パウエルのクルマがターン2で止まったとき、セーフティカーがコースインするのではないかと本当に心配したが、最終的には大丈夫だった。その後に僕がしなければならなかったのは、後ろのクルマとのギャップを保つことだけ。確かにそれは簡単ではなかったけどね」
これでTCRワールドツアーはミケリスが依然94点でランク首位を守り、勝利を挙げたエルラシェールとウルティアのリンク&コー・シアン・レーシング陣営が続く展開へと変わり、ヨーロッパでは前戦ポーで発動させた“戦略”も機能したコロネルが首位を堅持。僚友フィリピとルーキーのパウエルがそれを追う構図となった。
続くTCRワールドツアー第3戦は、招待制の“TCRイタリアン・フェスティバル”との併催で6月10~11日のバレルンガで、同TCRヨーロッパ第4戦は6月17~18日にハンガロリンクで開催される。