更新日: 2023.06.07 20:56
移籍組カイル・ブッシュが今季初ポールから早くも3勝目「勝ったぜ、ベイビー!」/NASCAR第15戦
これにより、映像だけでなくチームはデータ処理能力の大部分を失う状況で勝負が再開されると、174周目には序盤のスピンから復帰していたレディックが、続く197周目にはノア・グラグソン(レガシー・モータークラブ/シボレー・カマロ)が、ローター破裂による激しいクラッシュに見舞われ、ここで2度目の赤旗となってしまう。
「確かにそれは激しい衝撃だったよ」と続けた今季カップ・ルーキーのグラグソン。「ターン1でブレーキを踏んだら、多分左フロントのブレーキローターが逝ってしまったんだと思う。その時点で僕は『どうすればいいんだい?』という感じだったよ」と続けたグラグソン。
「インフィールドに引っ掛けようかとも思ったが無理だった。ポコノでそれをやってるヤツらがいたからね。当時は『それは間違ってる』と思ってたが、そうしないとフェンスに真っ向から突っ込んでしまうし、少しでも速度を落としたかったんだ」
さらにレガシー・モータークラブはピット作業でもアクシデントに見舞われ、僚友エリック・ジョーンズ(レガシー・モータークラブ/シボレー・カマロ)のフロントタイヤチェンジャーがストップ時に滑ってきた車両と衝突し、地元病院に搬送される事態に(のちに命に別状なしと発表)。
さらにクリストファー・ベル(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)のクラッシュによるコーションを挟み、220周目にはオースティン・シンドリック(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)、オースティン・ディロン(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)、そしてステンハウスJr.が絡んだ“タングル”でSAFERバリアが破損。なんと3度目の赤旗が発動。これでレースは計119分を超える中断に見舞われる。
最終盤には5番手にいたダレル“バッバ”ウォレスJr.(23XIレーシング/トヨタ・カムリ)も、僚友レディック同様にブレーキを失い、これで決着は延長戦へ突入。しかしレース開始から5時間以上が経過した最後のリスタートでも、首位ブッシュの優位は揺るがず。あらゆる混乱を遠ざけた男がカップ通算63勝目を飾る結果となった。
「今日ポールポジションに座り、多くの周回をリードし、クルーたちに素晴らしい仕事をしてもらった。我々にとって非常に驚異的なレースだった」と、夕闇のなかで語ったブッシュ。
「改めてTeam Chevy(チーム・シボレー)と3Chiに感謝したいし、RCRにとっては素晴らしい1日だ。これで楽しい時間を過ごすことができるし、最高にクールだ。また勝ったぜ、ベイビー!」
同じく土曜のWWTRで開催されたNASCARクラフツマン・トラック・シリーズ第12戦『トヨタ200』は、グラント・エンフィンガー(GMSレーシング/シボレー・シルバラードRST)が今季2勝目、通算9勝目をマーク。服部茂章率いるハットリ・レーシング・エンタープライズ(HRE)の16号車タイラー・アンクラム(トヨタ・タンドラTRDプロ)は、ファイナルステージに向け勝利を争う位置につけたものの、最終的に16位でフィニッシュを迎えた。
一方、土曜にポートランド・インターナショナル・レースウェイで開催されたNASCARエクスフィニティ・シリーズ第13戦『パシフィック・オフィス・オートメーション147』は、こちらも延長リスタートの攻防を制し、コール・カスター(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)が前戦勝者ジャスティン・オルゲイアー(JRモータースポーツ/シボレー・カマロ)を撃破している。