このディレイの影響で現地17時20分にスタートしたレース2も、引き続きミックス・コンディションの路面状況で、リバースグリッドから実力者たちが猛然とポジションを挽回。早い段階で首位に躍り出たハーンに対し、キスが挑むいつもの構図になると、あらゆるノウハウを駆使して“帝王”を追い詰めた深紅のMANが、残り3周でインを鮮やかに差してゲームセット。直後に降雨が強まり、チェッカーまでFCY(フルコースイエロー)が発動した展開にも助けられ、王者キスがまずは初日土曜を制圧した。
明けた日曜のスロバキアリンクは前日の天候が嘘のような快晴が広がり、完全ドライ勝負で勢力図にも影響が出るかと思われたが、予選とスーパーポールの両方で、王者キスがライバルを黙らせる最速タイムを計時していく。
降雨の予報もあるなか、レース3はドライでスタートを迎えると、オープニングラップでプロモーターズ・カップ登録のホセ-エドゥアルド・ロドリゲス(ロボコノーテ・レーシング・トラックチーム/MAN)がグラベルに転落、すぐに赤旗が提示される。
このアクシデントでハルムもグラベルにスタックし、救助車両の支援なしには脱出が困難となったことから、リスタート後以降もターン1はイエロー区間のままレースが続行される。
この条件でさらに「イージー」となったポールシッターのキスは、背後のレンツに脅かされることもなく、ドラマのないレースを完了。週末3勝目、今季5勝目を挙げ、予選直前にターボの交換を強いられていたアルバセテが、作業の甲斐あっての3位表彰台を獲得した。
そして週末最終、完全制覇のかかるキスが8番手から挑んだリバースグリッドのレース4は、教科書どおりのドライビングで、礼儀正しくクリーンなレースを展開したキスが、すぐさま首位ハーンの背後に接近。そのままイベコを仕留めて週末完全制覇の偉業を成し遂げた。
出遅れた開幕戦を経て早くも選手権スタンディングの定位置に返り咲いたキスに、ハーンが喰い下がる構図となった2023年のETCRシーズン。続く第3戦はシリーズ初開催、ポーランド西部の古都ポズナンにある1978年建設のレーストラック、トルン・ポズナンにて6月24~25日に争われる。

