続いて日曜現地12時過ぎに開始された予選トップ10リバース採用のレース2は、ポールシッターのドゥサン・ボルコヴィッチ(ターゲット・コンペティション/ヒョンデ・エラントラN TCR)がスタートの蹴り出しで遅れると、フロントロウに並んでいたビョークが先行する展開に。
さらにターン1のアウト側から、3番手発進のフレデリック・バービッシュ(コムトゥユー・レーシング/アウディRS3 LMS 2)がボルコヴィッチのヒョンデをかわし2番手に浮上。すると背後のコーナー立ち上がりでサンティアゴ・ウルティア(リンク&コー・シアン・レーシング/リンク&コー03 TCR)がボルコヴィッチのリヤを複数回ヒットし、ヒョンデは堪えきれずスピンモードに陥る。
この混乱のあおりを受けたのが選手権首位を行く“地元の英雄”ノルベルト・ミケリス(BRCヒョンデN スクアドラ・コルセ/ヒョンデ・エラントラN TCR)で、わずかな接触によりコース中央でスピンを喫すると、これにヴィクトル・ダヴィドフスキー(コムトゥユー・レーシング/アウディRS3 LMS 2)とレヴェンテ・ロソンツィ(アグレッシブ・チーム・イタリア/ヒョンデ・エラントラN TCR)が衝突してしまう。
足周りを破損したミケリスと、フロントを壊したロソンツィは自力でピットへ戻ったものの、イン側のウォールにヒットしたダヴィドフスキーのアウディはコース上で大破し、ここで車両回収と清掃のためSCが出動する。
静まり返った“ミケリス大応援団”が陣取るスタンドを前に、リスタート後の6周目には「毎レース、インシデントの判定が変わるんだから驚いたよ」と、前戦でスチュワードへの疑義を呈していたウルティアにペナルティが言い渡され、ドライブスルーに加えてレース後さらに40秒加算の重い裁定が降ることに。
一方、軽微なダメージに留まり最後尾からレースを再開したリバースポールシッターのボルコヴィッチは「本当に公平だった自分のレースを台無しにしたヤツらに、いつか必ず報復する」と不穏な発言を残し、12位まで挽回してレースを終えた。
これで再開後のレースを有利に運んだビョークは、混乱に乗じて12番手スタートから浮上してきたロブ・ハフ(コムトゥユー・レーシング/アウディRS3 LMS 2)や、後半にアズコナ、ジロラミ、エルラシェールらとの接触上等バトルを制したバービッシュらも抑え、WTCR世界ツーリングカー・カップ時代の2020年に、モーターランド・アラゴンで優勝して以来のトップチェッカーを受けた。
「他の誰もが勝利を狙っている状況で、この世界戦で勝利するのは格別だ! とても素敵で信じられないほどだし、これこそ僕らが戦っている理由だ」と、後続の混乱を尻目にひさびさ勝利の喜びを語ったビョーク。
「後ろでは大変なレースだったようだし、いろいろなことが起きたようだけど、良いスタートと良いペースで走れたので本当にうれしい。チームが良い成績を収めているのは分かっているが、自分がその番になると格別の気分だね」
これでランキング首位が入れ替わり、新たにトップ浮上を果たしたエルラシェールが、ミケリスに対し16点差でリード。アズコナ、ハフが追う展開へと変わった。同時に開幕4戦のヨーロッパ・パートを終えたTCRワールドツアーは、海を越えて南米大陸へ。8月18〜20日のウルグアイ、エル・ピナールから翌週のアルゼンチン2連戦で、TCRサウスアメリカ・シリーズとの併載戦が争われる。


