その悪しき流れは首位を守った6号車にも波及し、左フロントから出火したマスタングはあっという間に炎に包まれると、慌ててターン1でマシンを脇に寄せたウォーターズを追い出し、完全に燃え尽きてしまう。のちに燃料系統のトラブルと判別したが、陣営にとってはまさかの事態で勝機を逸することに。
マシンが回収されるまでに直ちにセーフティカー(SC)が出動し、レースは8周後に再開されると、17周目にはデクラン・フレイザー(ティックフォード・レーシング/フォード・マスタング)がターン1立ち上がりでスピンを喫したことにより、芝生火災が発生。これが原因で2度目のSCが導入される。
この双方のリスタートでポジションを守り切ったウインターボトムは、背後のフィーニーに対し0.456秒差、3位に滑り込んだウィル・デイビソン(ディック・ジョンソン・レーシング/フォード・マスタング)に約3秒のギャップを築いて35周のチェッカー。2016年以来となる待望の勝利を手にした。
「勝ったときにどんな感情が湧き上がるか、もうほとんど忘れてしまっていたよ」とフロスティ。
「契約にサインするとき、それは多くの仕事、多くの努力、多くの約束を意味する。すべてのレースに勝つという意味ではないが、最初のひとつを手に入れるのは本当に難しいんだ。いまだに信じられないし、この雰囲気は人生最大の勝利のように感じるよ」
僚友スコット・パイ(チーム18/シボレー・カマロZL1)は、義務ピット作業中にホイールをファストレーンに飛ばし、レース後にスチュワードからの調査を受ける一幕があったものの、チャーリー・シュワルコート率いるチームにとっても待望のGen3初勝利となった。
「チームの男女のなかには、これまで表彰台に立ったことがないメンバーもいる。これを1度味わってしまうと、とても病みつきになるんだ(笑)。インラップでは少し感情的になってしまったし長い時間が経ったが、このスタッフと一緒にそれが達成できたのは信じられない奇跡だ」とウインターボトム。
明けた日曜も午前からレース2と3に向けた予選がそれぞれ実施されると、やはりシボレー陣営が優位に立ち、トップ10シュートアウトに9台を送り込む結果に。これでレース2を先頭からスタートしたフィーニーが、フロントロウを分けたアンドレ・ハイムガートナー(ブラッド・ジョーンズ・レーシング/シボレー・カマロZL1)との35ラップ勝負を制して勝利。前日の不調からカムバックし、ピット作業を引っ張ったSVGがオーバーカットに成功し、トリプルエイトがワン・ツーフィニッシュを決めてみせた。
続く週末最後のヒートでは、前戦シモンズプレインでも優勝戦線に絡んだルブロークが躍動。ふたたび予選2番手としたハイムガートナーを従え首位を快走し、今度はアクシデントなくMSRにシリーズ初勝利をプレゼントする結果に。
一方、ランキング首位を行くコステッキは右フロントを破損してレースを失う厳しいレースウイークとなり、僚友ブラウンとのリーダーボードのワン・ツーは変わらぬものの、先輩SVGをかわしたフィーニーが3位に猛追するオーダーに。続くRSC第6戦『NTIタウンズビル500』は7月7~9日に開催される。



