32年ぶりに伝統のダウンタウンコースが復活。インディカー・デトロイトGPはストリートに復帰で大成功
新レイアウトでの初開催だった今回、走り始めたドライバーたちからあがった感想は、「コースは想像していたよりもバンピーではないが、ブレーキングゾーンの路面が悪く、制動距離がとても長くなってしまう。オーバーテイクが起こるように……という意図でデザインされたバックストレートエンドのヘアピンも、2台が並んでブレーキング競争をするにはバンピー過ぎてリスキーである」というものだった。
さらにコース距離の短さは、プラクティスで大渋滞を引き起こしていた。前車との間隔を確保しようとコース後半セクションにマシンが列を作り、フライングラップを走り切ることができないケースが多く発生してしまった。
しかし、予選本番は出場全車が一斉に走ることはないのでトラブルは発生せず、決勝レースでもコースの短さが問題になることはなかった。
そして、ヘアピンへのアプローチでのブレーキング競争にレースではドライバーたちが果敢に挑み、近年稀に見る激しい優勝争いがアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ)とウィル・パワー(チーム・ペンスキー)の間で繰り広げられ、アロウ・マクラーレンのチームメイト同士である、フェリックス・ローゼンクヴィストとアレクサンダー・ロッシのエキサイティングバトルもファンを沸かせていた。
32年ぶりの開催となったダウンタウンストリートでのデトロイトGPは、観客動員数、テレビ視聴率、SNSでのフォローのいずれもがすばらしい数字を達成したという。
日曜日の観客席は完売となり、コースの半分ほどに設けられた入場無料エリアにアクセスした人数も非常に多く、主催者発表の観客動員数は週末全体で15万人に達した。また、テレビ視聴率は前年のベル島開催レースの2倍となり、今年のインディカー・シリーズではインディ500に次ぐ2番目の視聴者数となった。
新生デトロイトGPの初代ウイナーとなったパロウは、「とても楽しいレースだったし、自分の想像していたよりも良いレースになった。その理由のひとつは、コースのグリップが高かったことだ。週末を通じてコースが進化したのだと思う」と語った。
「デトロイトは素晴らしい仕事をしたし、観客も最高だった。あんなに多くの人々が今回が初開催だったイベントに集まってくれたということに感激した。来年に向けてさらに改良が進むだろうから、今からとても楽しみだ」
ストリートコースへの復帰1レース目となった今年のデトロイトGPは非常に見応えのあるものとなった。来年はさらに多くのファンをデトロイトの街へと集め、テレビなどでの視聴も増えることになるものと期待されている。