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「ヒョンデ・エラントラN TCRの車両BoPの悪質さと、ボルコヴィッチに課せられた補正重量30kgの組み合わせにより、概算1周あたり2秒を失った低調な予選セッションの後、両車両とも競技から撤退することを決定しました」

「我々のチームとドライバーがこのような状況で競争することは容認できませんし、それは目指すレース状況ではありません。我々は勝てるドライバーを擁し、勝てるチームとしての評判を維持したいと考えています。同時にシーズン初めに約束したとおり、解決策があればシリーズに戻る用意があります」

 この一方的な宣言に対し、WSC代表のロッティは今季のエラントラが他の場所で成功を収めていることを考慮しても、この決定を理解するのに「苦労している」と主張。チームがTCRイタリアでも競争できないと感じたら「同様の行動を取るだろう」と皮肉を込めて反論した。

「我々はチームの決定を注視しているが、とくにヒョンデ・エラントラN TCRは同じBoPのもとで走行しながら、世界中のすべてのTCRシリーズで競争力があることが証明されている。そのため、我々はこれを理解できないでいる」との談話をリリースしたロッティ代表。

「マーティン・カオは競争の激しいTCRチャイナで3勝を挙げ首位に立っている。ジョシュ・バカンはTCRオーストラリアで2勝を挙げてランキング2位、マット・オモラは3勝でTCRイースタン・ヨーロッパのリーダーであり、新生TCRワールドツアーではノルベルト・ミケリスが2勝してランク2位、ブライアン・ハータ・オートスポート(BHA)の車両はIMSAミシュラン・パイロット・チャレンジで1-2となっている」

「これらの結果を見てもターゲット・コンペティションの決定を共有することはできない。しかし、もしそれが彼らの見解であるとすれば、ブティはこれまでに開催された3つのイベントすべてでポールポジションを獲得し、イモラでのシーズン開幕戦で優勝しているTCRイタリアからも撤退すると予想される。この件に関し、ヒョンデ・モータースポーツ・カスタマー・レーシングからの何らかの反応も期待している」

 このシリーズ撤退の決定を受け、スチュワードは「競技からの撤退に関する公式声明や情報を受け取っていなかった」とし、各マシンにつき1〜2万ユーロ(約156万~312万円)の罰金を科すことに。

 さらに、チームが棄権を表明したSNSへの投稿に対しては「スポーツに反し、シリーズの精神を尊重しない行為」とみなされ、1台につき5000ユーロ(約78万円)の追加罰金が科せられている。

 ヒョンデの2台が去り、レース前にグリッドは14台から12台に縮小したなか、レース1はフィリピがポール・トゥ・ウインで完勝。レース2はリバースの8番手からスタートを切ったパウエルが正真正銘のトップチェッカーを受け、ポー市街地での2位を上回ってツーリングカーレースでの初勝利を達成している。

レース1で完勝を飾ったジョン・フィリピ(コムトゥユー・レーシング/アウディRS3 LMS 2/右)と、ルーキーながらシリーズを席巻するコービー・パウエル
レース1で完勝を飾ったジョン・フィリピ(コムトゥユー・レーシング/アウディRS3 LMS 2/右)と、ルーキーながらシリーズを席巻するコービー・パウエル
レース2では8番手発進のパウエルがオープニンググラップで4番手に躍進し、勝利を手繰り寄せる
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ワールドツアー併催4戦中3戦でシリーズ最上位を奪ってはいたが、パウエルにとっては正真正銘のトップチェッカーとなった
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