そのフォード・フォーカスSTの速さは続くレース2でも翳りはなく、スタートでカミッシュの前に出たサットンは、ここでも最速ラップを連発して後続を引き離しに掛かり、年間勝利数の自己ベストを更新する7勝目を記録。チームメイトを引き連れ、モーターベース・パフォーマンスによる2戦連続のポディウム独占を成し遂げた。
「NAPAにとってなんと素晴らしい結果だろう。先頭に立つのは素晴らしいことだが、注意しないと大きな間違いを犯す可能性もあった」と、開幕戦以来の勝利に安堵の表情を浮かべたカミッシュ。
「最初のレースではアッシュ(サットン)がミディアムを使い、僕とダン(ロウボトム)がソフトを履いて戦略的なゲームをした。レース2では(ソフトを使う)アッシュが優勢となり逆転するだろうと予想していたが、それが完璧にうまくいったね。ふたたび1-2-3で立ち上がることができてよかったし、僕自身ツーリングカーでクロフトを制覇するのは初めてで、ホームサーキットで勝利することができ、とても満足しているよ」
一方のサットンも、前輪駆動NGTC車両での初タイトル獲得に向け「ただただ満足だ」と、週末の手応えを口にした。
「予選からの一晩で加えた変更が間違いなく機能した。ソフトを履いたあのクルマは、まさに生き返ったように別モノだった。(レース2では)素晴らしい蹴り出しができたし、そのソフトタイヤを最大限に活用してダン(カミッシュ)に対しジャンプできたと思う。でも彼はまだ内側にいたから、ブレーキを踏むのを少し遅らせる必要があったんだ」
「気を取り直してファステストラップを獲得し、ポイントを持ち帰った。NAPAレーシングUKにとっても、1-2-3の表彰台を2回獲得することは本当に素晴らしいことだね」
週末最後のレース3は、直前のヒートで6位入賞を果たしていたBMW使いがリバースポールを獲得すると、フロントロウに並んだクックの攻撃を抑え切ってホールショット。さらに首位攻防バトルの余波で遅れたホンダに、ヒョンデのイングラムが仕掛けて2番手に浮上した直後、ダン・ロイド(オートブライト・ダイレクト・ウィズ・ミラーズ・オイル/クプラ・レオンBTCC)のアクシデントでセーフティカーが導入される。
この瞬間を前にオーバーテイクを完了させていたイングラムとは対照的に、ステファン・ジェリー(チームBMW/BMW 330e Mスポーツ)と絡んで右フロントを破損したサットンは、敢えなくピットでの修復作業を強いられることに。
リスタート後はイングラムとクックからのプレッシャーを跳ね除けたターキントンが「この週末は本当にそれ(優勝)がカードに載っているとは思わなかった!」と語る、望外の勝利を手にした。
「ご覧のとおり1周目が重要な瞬間なのは明らかだった。ジョシュ(・クック)とトム(・イングラム)はどちらも非常に速くアグレッシブだから、僕は彼らをなんとしても後ろに留めなければなかった。以前はアキレス腱だったが、これまでのところ我々はハードタイヤでの調子を取り戻している。チームBMWは本当によく頑張ってくれたよ」とターキントン。
これでわずか6点差とした選手権首位サットンとイングラムに対し、少し離されてターキントンが追い、ジェイク・ヒル(レーザーツール・レーシング・ウィズ・MBモータースポーツ/BMW 330e Mスポーツ)やカミッシュ、クックらが追随する展開となった2023年シーズン。続く第7戦は8月12~13日の週末に、スコットランドが誇るノックヒルで争われる。