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 また、Q1ではセッション終了間際にトップ10圏内に飛び込むタイムを計時し、辛くもQ2進出を果たしていたジロラミは、続くセッションでも11番手が精一杯でアタックラップを終えていたが、TCRサウスアメリカ組のラファエル・レイス(W2プロGP/クプラ・レオン・コンペティションTCR)が最低地上高違反で予選結果除外となり、結果ジロラミが10位に昇格。これでレース2に向けたリバースポールを手にすることとなった。

 そのまま現地土曜の午後15時過ぎに始まったレース1は、序盤の濡れた路面からみるみるドライアップする難易度の高いコンディションとなるなか、スタートでは「雨量の多い側でグリップが充分に得られなかった」と明かすポールシッターが、ターン1までにミケリスの先行を許してしまう。

 さらに、4番手発進のロブ・ハフ(コムトゥユー・レーシング/アウディRS3 LMS 2)が躍進し、シケインでは接触上等の肉弾戦を演じてアウディが首位を奪取。元王者のリンク&コーとヒョンデ艦隊、さらにジロラミのシビックが続く展開となる。

 すると直後の2周目にはコース上でストップした車両の回収でセーフティカー(SC)が出動し、エンジン不調やトラブルを抱えた車両がピットへ向かうなど、ウエット路面やダストの影響かレースは混沌とした状況に。

 再開となった6周目以降、シビックのジロラミが2台のヒョンデに迫ったが、そのアズコナとミケリスのデュオもペースを上げ、続く周回で前方のエルラシェールを捉えることに成功。さらにバトルに乗じたジロラミも4番手へ浮上したが、9周目に痛恨のトラブルでリタイアに。これで2回目のSCが出動する。

 ワイドなストレートでふたたびリスタートが切られたレースは、そのままファイナルラップに突入すると、BRC軍団の重圧に圧されたハフがインサイドのウエットパッチも影響したか、右90度のブレーキングでオーバーシュート。元世界王者にとってあとわずかのところでアズコナ&ミケリスに1-2を許す、失意の表彰台となった。

「明らかに今季これまでで最も難しいレースだった」と、エラントラN TCRの前輪にスリック、後輪にレインを装着していた勝者アズコナ。「アルゼンチンのこの厳しい条件で勝利できて素晴らしい気分だし、これがTCRワールドツアーでの初優勝だ。レース序盤はフルウエットだったが、終盤はどんどん路面が良くなり、最後はほぼドライの勝負。最初のリスタート直後に、4輪スリックのエルラシェールをパスしたことが勝利の鍵になったね」

序盤の“四つ巴”から抜け出したのはミケル・アズコナ(BRCヒョンデN スクアドラ・コルセ/ヒョンデ・エラントラN TCR)に
序盤の“四つ巴”から抜け出したのはミケル・アズコナ(BRCヒョンデN スクアドラ・コルセ/ヒョンデ・エラントラN TCR)に
「明らかに今季これまでで最も難しいレースだった」と、エラントラN TCRの前輪にスリック、後輪にレインを装着していた勝者アズコナ
「明らかに今季これまでで最も難しいレースだった」と、エラントラN TCRの前輪にスリック、後輪にレインを装着していた勝者アズコナ
世界戦組と共闘したTCRサウスアメリカでは、ファビアン・シャナントゥオーニとファン-アンヘル・ロッソのパラディーニ・レーシング陣営が、元世界王者エルラシェールを挟んで5位と7位で最上位に
世界戦組と共闘したTCRサウスアメリカでは、ファビアン・シャナントゥオーニとファン-アンヘル・ロッソのパラディーニ・レーシング陣営が、元世界王者エルラシェールを挟んで5位と7位で最上位に

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