NASCAR王者カイル・ラーソン、インディ500とシャーロット600マイルのダブル挑戦は成功となるか?
今回ラーソンがエントリーするのはアロウ・マクラーレンからで、エンジンはシボレーを使用する。ラーソンはNASCARシリーズでもシボレー・ドライバー。今回の“ザ・ダブル挑戦”はシボレーからの強いプッシュも存在する。
また、ラーソンの乗るマシンは、マクラーレンではなく彼をNASCARで走らせているリック・ヘンドリックがオーナーとなるという。ストックカーチャンピオンのインディ挑戦は、マクラーレンとヘンドリック・モータースポーツによる共同プロジェクトだが、ヘンドリックの将来的なインディカー進出への足がかりとなるのかもしれない。
2024年のラーソン出場は、メイン・スポンサーをヘンドリック・カーズ・ドット・コムが務める。リック・ヘンドリックは自動車販売業界で成功し、レースの世界へ進出してきたビジネスマンなのだ。彼は現在でも米国車だけでなく、欧州車から日本車までの車両を販売するディーラーを合計100軒以上も経営している。
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レースでのオペレーションはマクラーレンが担当する。今年のインディ500でのマクラーレンのパフォーマンスを振り返ると、4人をエントリーさせた彼らの予選順位はフェリックス・ローゼンクイストが3番手、パト・オワードが5番手、アレクサンダー・ロッシが7番手、トニー・カナーンが9番手と全員がトップ10入り。
オーバルレースではマシンの仕上がりレベルが低くては話にならない。マクラーレンのマシンが来年も今年と同じレベルのパフォーマンスを発揮するなら、ラーソンはインディ500デビュー戦から上位に食い込むだけの走りを見せることが可能だろう。
アロウ・マクラーレンのレギュラードライバー3人のチームメイトたちの情報や知識を活用でき、アドバイスも受けられる点はとても大きなプラスだ。さらに、インディ500優勝経験と、インディカー通算17勝、タイトル獲得1回のトニー・カナーンがラーソンのコーチとして着くことになっている。
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シボレーからの強力なバックアップを受け、マクラーレンもラーソンを走らせることを大歓迎。彼らが1年半も前に挑戦の発表を行ったのは、入念な準備を行うためでもあった。彼らはその計画の通り、すでにラーソンにシミュレーター使用を始めさせている。
そして、インディアナポリス・モータースピードウェイでのルーキーテストも10月に開催してもらえることとなった。これは昨年までインディカーに出場していたジミー・ジョンソンに対しても行われた厚遇で、ラーソンにも適応される。
インディ500本番の半年以上前に実際に走らせてもらえることは、彼にとって大きな助けになるだろう。この準備と体制なら、直近で2014年に元NASCARチャンピオンとしてインディ500に参戦したカート・ブッシュの予選12番手/決勝6位を上回る可能性は十分にある。
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「この挑戦がどんな結果で終わろうとも、自分は来年のインディ500を戦い終えた時、それ以前よりも優れたレーシングドライバーになることができているだろう。いや、すでにシミュレーターでインディーカーを短時間走らせただけで、僕はもうそれ以前よりも良いドライバーになれている」とラーソンは語っている。
マクラーレンは1974年にインディ500での優勝を果たしている。2020年にシュミット・ピーターソン・モータースポーツとジョイントしてからのマクラーレンは、これまでにインディカーシリーズでは4勝を挙げているものの、インディ500ではオワードによる2022年の2位フィニッシュがベストリザルトでいまだ勝利はない。
インディカーでの経験がないラーソンが初出場でいきなり優勝するとは考えにくいが、トップグループで戦い、上位でフィニッシュすることは十分に可能なパッケージだと言える。来年のインディ500はストックカーファンの間でもおおいに注目されること必至だ。
ストックカーチャンピオンの出場がなくても十分にコンペティティブでエキサイティングなのがインディ500だが、ダートオーバル出身のアメリカ人ドライバーによるチャレンジが第108回インディ500をより一層盛り上げる要素となることは間違いない。
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