同じくトヨタ陣営内では、これがプレーオフ初進出となるダレル“バッバ”ウォレスJr.(23XIレーシング/トヨタ・カムリ)も、ステージ1の最終周で姿勢を乱しスピンオフ。この余波でアウトサイドレーンにいた王者ジョーイ・ロガーノ(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)も自身のミスによる86周目の“ブラッシュ”に続き、ふたたび右リヤをフェンスにヒットするなど、プレーオフドライバーに次々と試練が襲い掛かる。
これで先頭を引き継いだトヨタのレディックに対し、一時はケビン・ハーヴィック(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)らが詰め寄る場面もあったが、こちらも“不可抗力”のピットクローズ・ペナルティにより脱落。都合90周をリードしたレディックの45号車がそのままチェッカーか……と思われた313周目。ここでの素早いピットストップ作業で逆転に成功したのは、勝負の“場数が違う”ヘンドリック・モータースポーツ(HMS)の元王者だった。
この日はレース序盤からトランスミッションが「一瞬ニュートラルに引っ掛かった」り、思いがけぬ挙動で「面喰らうような」ウォールタッチも切り抜けながら、最後の55周でリードを守り抜いたラーソンは、最後まで追い縋ったレディックの猛攻を0.447秒差で抑え切り、レギュラーシーズン終盤の不振をも払拭する逆転勝利を手にした。
「ああ、ようやく最初から最後までレースを完遂することができたね」と安堵の表情を見せたラーソン。「最初のステージで18番手から3番手に上がったけど、そんなことが可能だとは考えてもいなかった。陽が出ているときの僕らのレースカーは本当に素晴らしかった。だから、やるべきことをやるだけだったよ」と続けた2021年のカップチャンピオン。
「不調を抱えてはいたが、ニュートラルに引っ掛かったあるときに失敗してしまい、スライドして壁に衝突した。これでトーリンクを少し曲げてしまったと思うし、そこからはちょっと苦労したよ」
「以前よりもファイトを強いられたが、僕らはゲームに集中し続けた。それは本当に重要だったし、このレースは頭を働かせることがすべてだ……。プレーオフを始めるのに当たり素晴らしいスタートだったし、このまま続けられることを願っている」
背後の3位には前週のレギュラー最終戦も制したクリス・ブッシャー(RFKレーシング/フォード・マスタング)が「ノーミス」の展開で続き、4位には23番手スタートから猛追劇を演じたHMSのもう1台、ウイリアム・バイロン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)と、5位にロス・チャスティン(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)が並ぶ結果に。さらにブラッド・ケセロウスキー(RFKレーシング/フォード・マスタング)、ウォレスJr.と上位7台がプレーオフドライバーのリザルトとなっている。


