そしてリバースグリッド採用のレース2でもシリーズチャンピオンの独壇場が続き、スタートからわずか2周目にはレクエンコと首位争いを展開するアンドレ・クルシム(ドント・タッチ・レーシング/イベコ)のリヤバンパーに、チャンピオンが操る真紅のマンが迫る。
そこから必死のディフェンスでなんとか1周を持ちこたえたクルシムだったが、メインストレートからのラインスイッチで鮮やかにポジションを奪ったキスが2番手に浮上。そのままレクエンコの追撃態勢に入る。
コース幅を可能な限りワイドに使い、総合王者の猛攻を凌ぐドライブを見せ、キスが仕掛けるあらゆる試みを阻止したレクエンコだったが、集中力が途切れたか6周目のわずかなミスで終戦。これでキスが年間21勝目を手にした。
明けた日曜。今季総仕上げとなる予選もほぼ全ドライバーがクリーンな計時ラップを得る展開のなか、帝王ハーンを0.8秒も突き放す圧巻のタイムを記録したキスが、すでに実り多き2023年シーズンに華を添える『年間予選ポールポジション完全制覇』の記録を打ち立てた。
これで今季最終日も波に乗ったチャンピオンは、シュティフィ・ハルム(チーム・シュバーベントラック/イベコ)がターン11でエンジントラブルからオイルを撒き、後続2台が巻き添えのクラッシュを喫する展開のなか、先頭で静かなレースを続けてトップチェッカー。これでシーズン22勝目に到達した。
迎えた今季最終ヒートのレース4は、前日の雪辱とばかりに燃えたクルシムがリバースグリッドをうまく機能させ、念願の今季初勝利を達成。レンツとキスが表彰台の脇を固める結果となり、キスの勝利数更新は22で止まるフィナーレとなった。
一方、レース3のトラブルでエンジン換装を強いられたハルムは、わずか1時間のインターバルでクルーが懸命の作業を続けたものの、交換完了間近あと一歩のところでフォーメーションラップが開始され万事休す。加えてクルシムの勝利により、彼女は総合順位で7ポイント差のランキング5位に後退する結果となった。


