2016年はメルセデスのパワーユニットを得て、期待できるパッケージを手にしているマノー・レーシング。テクニカルディレクターのジョン・マッキリアムが新車「MRT05」についてインタビューに答えている。
──夢のようなマシンになりましたか。
「間違いなく、そうだ。これほど早い段階でも、いままで発表したどのマシンよりも最高だと言える。最も開発が進んでいて、最も野心的で、最高にアグレッシブ。全体のパッケージとしては、昨年からだけでなく、これまで我々がガレージから送り出したマシンすべてと比較しても大きな前進が見られる。MRT05の開発には、まだ長い道のりがあるけれど、このマシンを設計して作り上げたマノーの154人にとっては、すでに夢のようなパッケージとなっている。我々のような小さなチームでは、すべての人員がそれぞれの役割を持っている」
──何が、そんなに特別だったのでしょうか。
「何もかもが新しい。昨年は『間に合わせる』ことが必要だったが、そんなことのためにF1にいるのではない。我々は生きていくために速いレースカーを作っていて、その愛する仕事をまたできるようになったことがうれしい。正しい道具がそろってさえいれば、得意な作業なんだ。それだけでも特別と言えるし、MRT05は戦えるマシンだと信じている。昨シーズン後半以降、もっぱら設計チームは新車だけに集中していて、これまでとはまったく異なる状況だった。マシンのどのパーツをとってみても、これ以外のデザインはありえない」
──マシンの特徴は?
「消火器だけは2015年から持ち越したが、それ以外はすべて新品だ。社内製造の部品だけで実に3393ものパーツがある。新しいパワーユニットができあがるまでモノコックのプログラムは延期にしたが、待つだけの価値はあった。メルセデス・ベンツPU106Cハイブリッド・パワーユニットはエンジニアリングの集大成であり、タイトルホルダーであるメルセデスの開発した技術を使えることを誇りに思うし、胸が高鳴る。競争力の高いトランスミッションやリヤエンドの部品を提供してくれた、技術パートナーのウイリアムズ・アドバンスド・エンジニアリングにも感謝している。我々の努力の結晶である空力や、メカニカル設計チームの仕事と相まって、かなり印象的なパッケージに仕上がった」
続いて、レーシングディレクターを務めるデイブ・ライアンも今季への期待を語っている。ライアンは、かつてマクラーレンでスポーティングディレクターを任されていた大ベテランだ。
──新しい役職に就いて約3カ月、どう過ごしてきましたか。
「とても忙しい期間だったけれど、チームに加入してからは思うことのすべてを確認する作業をしてきた。規模は小さくも素晴らしい作業で、大きな一歩を踏み出すためのポテンシャルと展望、それに志がある。今シーズンに向けては多くの準備が必要だ。一昨年の冬の状況を考えると、昨年チームは見事な仕事を成し遂げた。今シーズンはこのパッケージとともに、細部に至るまでプロフェッショナルなレースチームでなければならない。そこに意識を集中していく」
──新たな技術パートナーとチームとの関係は?
「素晴らしく良いものだ。メルセデスAMGハイパフォーマンス・パワートレインとウイリアムズ・アドバンスド・エンジニアリングのスタッフは十分な期間をファクトリーで過ごしており、どちらの本拠地も我々のいるバンベリーから1時間もかからない。つまり必要なリソースやサポートは、いつでも受けられる体勢だ。全員が我々のファクトリーで密に仕事をしており、なごやかな関係を築いている。仕事の移行もスムーズに進んだ」
──ドライバーに関しては、どうですか。
「パスカル(ウェーレイン)とリオ(ハリアント)は、チームにとって素晴らしい要素だ。若くて野心があるが、きわめて経験豊富なドライバーで、多くの才能とポテンシャルを秘めている。彼らがマノー・レーシングからF1デビューを果たすことを、とても誇りに思っている」
──今シーズンのマノー・レーシングには何が期待できるでしょう?
「堅実で、競争力があること。他のチームの引き立て役はもう終わりだ。チームのひとりひとりが、あと数週間に迫ったメルボルンでの開幕戦を楽しみにしている。すべての分野で改善が必要なことはわかっているし、ライバルを過小評価することもないが、素晴らしい人員と、メルセデスやウイリアムズといった最高の技術パートナーを得た。あとは我々が結果を出すだけだ」