7月17日から19日にかけて開催されたF1若手ドライバーテスト。このテストにザウバーから参加した佐藤公哉は、テスト最終日の19日にザウバーC32を走らせ、念願のF1初ドライブを果たした。このコーナーでは、イギリスのシルバーストンまで同行して、佐藤のF1テストデビューまでを追った。
※写真はクリックすると拡大します
チームから支給されたキャップやウェアを身につけてシルバーストンへ向かう佐藤公哉。その姿を見た口の悪い友人たちからは、「鈴鹿サーキットの店で買ってきたのだろう?」とフェイスブックなどで茶化された。
コプスコーナー内側でテストの様子を見守る公哉。この先に続く、マゴッツ、ベケッツ、チャペルの連続コーナーでグランプリカーの挙動を見た彼は、「あれはもはやクルマの動きではない!」とビックリ。
7月19日午前9時前、いよいよF1テストが始まり、ザウバーC32・フェラーリに乗り込む。この日の朝ホテルで会った公哉は、「なかなか寝付けなかった。朝食も喉を通らなかった」と語って緊張を隠さなかった。
ピットイン・アウトの繰り返しで徐々に慣れてきた公哉。ステアリングの表と裏にびっしりと配置されたボタンやスイッチ、パドルの操作方法と各種表示は、意外にもあっさりと習得してしまったようだ。
チームのエンジニアやフィジオにドライビングの印象を語る公哉。左はアイルトン・セナのフィジオセラピストを務めた経験もあるヨゼフ・レベラー。公哉がこれから鍛えるべきポイントも理論的に説明してくれた。
気温が上がりきらない昼前(26℃)に1分35秒642という自己ベストを記録した公哉。ライバルの多くが新品ソフトを履く中、彼は新品ミディアム。両者のタイム差は「0.6秒相当」とピレリの技術者は語る。
公哉にクルマの印象を尋ねるユーロ・ノバ社長のビンツェンツォ・ソスピリ。彼自身のベネトンでのテストドライバー経験などをもとに、若きドライバーの言葉を受け止めながら心構えをアドバイスした。
「限られた条件の中で、彼は素晴らしい仕事をした」と手放しで公哉を褒めたソスピリ社長。ロンドン・ヒースロー空港近くのホテルで、公哉、ソスピリ社長、井上隆智穂オーナーの3人は和やかな夕食を摂った。