フォース・インディアが2015年用のニューマシンとなるVJM08を発表したのは、いまから約1カ月も前になる1月21日だった。ウイリアムズがインターネット上で新車の画像を一部掲載していたものの、実車をお披露目したのは、その時点でフォース・インディアが最初だった。
しかし、この発表はチーム体制とマシンの新しいカラーリングが主な目的で、ニューマシンの製作は継続中。今年最初のヘレステストは欠席し、2回目の合同テストとなるバルセロナから合流した。
これと似たようなケースだったのが、昨年のロータスである。ロータスもまた昨年1月に新車をインターネットで公開しながら、1回目のヘレステストをスキップしている。理由は財政的な問題だった。そのため、フォース・インディアも同様の問題を抱えていることは容易に想像がつく。むしろ、今年のフォース・インディアのほうが、昨年のロータスよりも状況は厳しいかもしれない。というのも、ロータスは2回目のテストから新車を走らせていたが、フォース・インディアがバルセロナに持ち込んだマシンは新車VJM08ではなく、昨年のVJM07だったからだ。
考えられる理由は、サプライヤーへの支払いが滞っているため、パーツの供給を受けられないからというのが一般的である。それを物語るのは、テスト初日にステアリングを握ったのはレギュラードライバーではなく、メルセデスAMGのリザーブドライバーを務めるパスカル・ウェーレインだったことだ。初日はメルセデスAMGのルイス・ハミルトンが体調不良となったため、ウェーレインを急遽、メルセデスAMGに戻り、結果的にフォース・インディアのマシンには待機していたセルジオ・ペレスが乗り込んだが、メルセデスAMGのリザーブドライバーを乗せることで、フォース・インディアに金銭的なメリットが発生していたことは間違いないだろう。
1月21日にお披露目された写真を見る限り、発表会に持ち込まれた写真は昨年のモノコックに今年用に製作された低く長いノーズを無理やり結合させた感がある。新しいレギュラードライバー用に作られたように見える新ノーズも、旧型のアリクイノーズに化粧パネルを張り合わせて作られたものかもしれない。つまり、フォース・インディアの新車VJM08のモノコックは、いまだ完成していない可能性がある。あるいは完成しているものの、なんらかの理由でチームに引き渡されていないのかもしれない。
2月20日時点で、VJM08の全貌はまだ見えていない。したがって、その評価を下すのは、早くても次のバルセロナテストが始まる2月26日。もしかすると、開幕戦にズレ込むことも考えられる。いまはただ、VJM08がトラックデビューすることを、祈るばかりである。