バーレーンGPの予選は、メルセデスの圧勝に終わりました。ポールポジションを獲得したニコ・ロズベルグが3番手のダニエル・リカルド(レッドブル/ペナルティにより10グリッド降格)に付けた差は実に0.866秒。2番手のルイス・ハミルトンも、0.587秒の差をリカルドに対して付けました。これは非常に大きな差。この結果を見る限りでは、メルセデスに敵う者は誰もいないように思えます。
もちろん、決勝優勝の最有力候補がメルセデスのふたりのドライバーのうち、いずれかであることに疑いの余地はないのですが、他のチームが太刀打ちすることは、絶対にできないのでしょうか? 本稿では、メルセデス以外に勝つ可能性のあるチームを、探してみることにしましょう。
まず、今回のレースの舞台であるバーレーン・インターナショナル・サーキットは、長い4本の直線を持と低速コーナーを持つサーキットです。つまり、パワーユニット(PU)の性能がモノを言います。新レギュレーション導入初年度の今年は、メルセデス製PUが、ルノーとフェラーリのPUよりも大幅に優れていると言われています。今回の予選では、リカルドが意地を見せて3番手に飛び込んできましたが、予選トップ10中実に7台がメルセデス製PU装着車。リカルドのラップは、ある意味奇跡的だったと言えるかもしれません。また、1コーナー手前で計測される最高速度でも、トップ10台中8台がメルセデス製PU搭載マシン。これらのデータから判断するに、決勝でもメルセデス製PUユーザーが優位であると断言できます。
だた、直線スピードが速いだけでは、レースに勝つことはできません。“タイヤのデグラデーション”と“燃費”が大きく勝負を左右してきそうです。
まずタイヤのデグラデーションから見ていきましょう。金曜日のフリー走行2回目では、各チームがロングランを行いましたが、メルセデスの2台はペースをあまり落とすことなく、ソフトタイヤでの周回を重ねていたのが印象的でした。
フォース・インディアも速いペースで周回していたのですが、タイヤのデグラデーションはメルセデスより大きく、予選の差を埋める要素にはならなそうです。ただ、前回のようにタイヤ交換の戦略を他チームと変えることで、順位を上げるという戦略は可能でしょう。ウイリアムズについてはロングランを行わなかったため予測は難しいですが、オフシーズンのテストでこのサーキットを徹底的に走り込めており、データをたくさん持っているはずです。
もうひとつのメルセデスPU使用チームであるマクラーレンは、ロングランは他のメルセデスPU搭載3チームに比べてかなり低いレベル。今回のレースでメルセデスに肉薄するのは難しそうです。
なお、ルノーPUユーザーですが、レッドブルのロングランはメルセデスに匹敵するレベルにある可能性があります。ただし、2台ともに後方からのスタートとなること、直線スピードで劣るためにオーバーテイクに苦労するであろうことを考えると、楽な戦いではなさそうです。フェラーリのロングランは、全体的に0.5秒程度フォース・インディアから劣っていました。デグラデーションもフォース・インディアと同レベルなので、今回は5~6番目のチームということになりそうです。
燃費についても検証してみましょう。
マレーシアGPでは、メルセデスの2台の燃費は今年のレギュレーションで規定されている最大値の100kgギリギリというところだったようです。ウイリアムズが発表している燃費データによると、今回のバーレーンはマレーシアと比較して1.078倍の燃料を消費する計算。これを当てはめるとメルセデスは5~8kg程度の燃料が不足するはずで、その分燃費使用量をコントロールしながらレースを走らねばなりません。同様の計算を他チームにも適応すると、フォースインディアは7~8kg、マクラーレンは8~9kg、レッドブルは8~13kg、フェラーリは10~11kg程度不足する可能性があります。
ただし、同様の計算をすると、ひとつだけ燃料が足りてしまうチームがあります。ウイリアムズです。ウイリアムズは99kg程度でレースを走り切れるはずで、今回はこれが非常に大きなアドバンテージになるかもしれません。
純粋な速さとレースペースではメルセデスが圧倒的。データ量と燃費ではウイリアムズが不気味。バーレーン初のナイトレースとして行われる、今年のF1世界選手権第3戦は、一体どんな結末が待っているのでしょうか?
注目のバーレーンGP決勝レースは、4月6日24時(日本時間)スタート。「AUTOSPORTweb/F1速報」では、スタート1時間前に直前情報を発信する予定です。