スコット・ディクソン優勝でIRL歴代最多勝利更新
武藤英紀は5位でロードコースでの自己ベストとなる

2009年8月9日(日)
決勝

会場:ミッドオハイオ・スポーツカー・コース(全長2.258マイル)
天候:快晴
気温:31~32℃

 2009年IRL インディカー・シリーズの第13戦は今シーズン6戦目のロードレースとして、すばらしい好天下で開催された。オハイオ州都のコロンバス郊外にあるミッドオハイオ・スポーツカー・コースは、丘陵地帯の地形を利用した芝生の観戦エリアがコースを取り囲んでおり、ファンがサーキットまで運転して来た乗用車をコースサイドまで乗り入れることも可能だ。シーズンも終盤戦に入り、ポイント争いもし烈となっているインディカーのレースを見ようと集まった多くの観客は、ハイスピードのレースとピクニックを同時に楽しんでいた。

 彼らが熱い視線を送ったコース上では、21台のインディカーによる激しいバトルが繰り広げられた。ツイスティでアップダウンも激しいコースは、高度なドライビングテクニックと体力、精神力が必要だ。

 3番グリッドからスタートしたスコット・ディクソン(Target Chip Ganassi Racing)は、全85周中の37周目にジャスティン・ウィルソン(Dale Coyne Racing)をパスしてトップに立った。そこからの彼はゴールまで圧倒的な速さを見せつけ、2位に29秒7803という大差をつけて今季4勝目のチェッカーフラッグを受けた。ディクソンの今回の勝利はキャリア20勝目で、サム・ホーニッシュJr.とのタイ記録から脱し、IRLインディカー・シリーズ歴代最多勝利ドライバーの座へと躍り出た。

 ウィルソンはポールスタートだったライアン・ブリスコー(Team Penske)を6周目にパスしてトップに躍り出ると、2位以下を突き放して見せた。しかし、1回目のピットストップで2位へと浮上したディクソンが、そこからさらにペースを上げて急追し、トップを奪取。2位へと戻ったウィルソンは燃料切れの状態でピットインしてタイムロスし、さらにピットアウト時のエンジンストールが重なって15位まで後退。最終的に13位でのフィニッシュとなった。このウィルソンの脱落により、ブリスコーは2位へと復活。ダリオ・フランキッティ(Target Chip Ganassi Racing)の猛追をおさえてゴールした。

 中団の11番グリッドからスタートした武藤英紀(Andretti Green Racing)は、1回目のピットストップの後にトップ10に浮上。攻めるべきタイミングで攻め、燃費セーブも巧みに行ったことでレース中盤過ぎにさらに順位を上げ、最後はライアン・ハンターレイ(A.J. Foyt Enterprises)と4位争いを展開。惜しくも抜くまでは至らなかったが、今季3回目のトップ5フィニッシュ、そして、ロードコースでの自己ベストとなる5位でのゴールを果たした。

 シーズンも終盤に入り、ポイント争いは激しさを増しており、チャンピオン争いはランキング1位と2位が3点差、1位から3位でもわずか20点差の中にひしめく接戦となっている。第12戦終了時点で2番手だったディクソンが今回の優勝によってポイントトップへと再浮上し、ミッドオハイオにポイントリーダーとして乗り込んだブリスコーは2位フィニッシュだったため、ランキングは2番手に後退した。ランキング3位は今日のレースでも3位だったフランキッティである。

 また、日本で開催されるIRLインディカー・シリーズ第16戦のブリヂストン インディジャパン 300マイルに、2004年から4シーズンにわたってシリーズを戦った松浦孝亮がConquest Racingからスポット参戦することが発表となった。ロジャー安川もDreyer & Reibold Racingから出場するため、フル参戦の武藤と合わせ、今年のインディジャパンには3人の日本人ドライバーが出場することとなる。

スコット・ディクソン(優勝)
「スタートからマシンのハンドリングは抜群で、すぐにウィルソンを抜くことができるかと思ったが、無理をせずに3位をキープ。そのポジションで走りながら燃費セーブに努めた。自分の周りのマシンがピットに入った直後、2周を思いきり攻めて2位へと順位を上げ、その後にウィルソンをパスすることができた。今回の勝利もすばらしいが、歴代最多勝利は自分にとっても、チームにとっても誇らしい記録だ」

ライアン・ブリスコー(2位)
「今日の我々には十分なスピードがなかった。マシンのバランスが完ぺきではなく、思う存分にコーナーを攻めることができなかった。レース終盤にオプショナルタイヤで戦う作戦に出たが、タイヤの消耗が早く、フランキッティの攻撃を抑え続けるのは本当に大変だった。その面から考えると、3位ではなく、2位でゴールできてうれしい」

ダリオ・フランキッティ(3位)
「暑かったために非常に厳しい戦いになっていたが、オプショナルタイヤの耐久性は驚くほど高く、プライマリータイヤでも自分のマシンはハンドリングがよかった。作戦も万全だったと思う。最後はオプショナルを装着したブリスコーを追いかけ、差を詰めることはできたが、抜くことができず、残念だ」

武藤英紀(5位)
「5位はロードコースでは自己ベストになる結果ですからうれしいです。2回目のピットストップに他のドライバーたちが先にピットに向かい、自分は2周長く走れたので、その時に思いきって攻め、かなり順位を上げることができました。燃費セーブをする作戦がよかったのと、自分なりにも燃費をうまくセーブできていたので、そうした戦い方ができたのだと思います。欲を言えば最後にハンターレイをパスしたかったです」

エリック・バークマン|HPD社長
「ディクソン、そしてTarget Chip Ganassi Racingの見事な勝利をたたえたい。今日の彼らの速さは、まるでひとつ上のクラスのマシンであったかのようだった。また、ブリスコーとフランキッティの2位争いも白熱しており、レースを終えた彼らは今にも崩れ落ちそうなほどだった。彼らは持てる力をすべて使い果たしてファイトしていたと思う。ハンターレイと武藤英紀の2人もすばらしい戦いぶりで好結果を残した。“Hondaボタン”が採用されて今回がまだ2戦目だが、オーバーテイクやスピードの維持などにドライバーたちはフルに活用している。これからもさらにデータを解析し、今シーズン、そして来シーズンのレースをさらにエキサイティングなものにできるよう開発を続けていく」

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