Audi、オースティン6時間レースで優勝、LMPマシンでの総合優勝獲得100回目を記録

・デュバル / クリステンセン / マクニッシュ組が歴史的快挙を達成
・Audi R18 e-tron quattroは2013年の連勝記録を更新
・ル・マン優勝トリオがWECポイントランキングのリードを伸ばす

 インゴルシュタット / オースティン 9月22日発。アウディはアメリカ合衆国テキサス州オースティンでの初開催されたFIA世界耐久選手権(WEC)で歴史的快挙を成し遂げました。アウディ モータースポーツ代表のDr. ウォルフガング ウルリッヒ率いるチームが、LMPマシンによるレースでの総合優勝獲得100回目を記録しました。

 この記録は2000年3月18日にセブリングで獲得したアメリカでの初優勝から始まりました。その時からこんにちまで、アウディスポーツ チームヨーストはポテンシャルの高いレーシングカーを作り続け、ル・マンの伝説的英雄であるトム クリステンセンがチームの一翼を担って来ました。

 気温28度、路面温度45度に達したテキサスの地で、アウディは今シーズンのWEC連勝記録を更新する素晴らしいパフォーマンスを発揮しました。ロイック デュバル / トム クリステンセン / アラン マクニッシュ (フランス/デンマーク/イギリス)組が、開幕戦のシルバーストーン、ル・マン24時間に続く、今シーズン3回目のWEC総合優勝を獲得しました。

 彼らが駆ったゼッケン2号車のAudi R18 e-tron quattroは、2番手を走るトヨタのマシンに23.617秒というアドバンテージでチェッカーフラッグを受けました。今回の優勝はアウディにとって今年のWECレース5回目の総合優勝で、3月に行われたセブリング12時間レースでの優勝を含め、今季6回目のLMPマシンによる総合優勝になりました。

 ドライバーのドライビングスキルはもちろん、タイヤ交換をドライバーチェンジと同時に行うとは限らない、通常とは異なるレース戦略も見事でした。結果、素早く交替を済ませたドライバーは、ミシュランタイヤの特性をフルに活かして素晴らしいラップタイムを維持し、レースのリズムを狂わせることなく走り続けました。

 ゼッケン2号車の活躍とは対照的に、マルセル ファスラー / アンドレ ロッテラー / ブノワ トレルイエ(スイス/ドイツ/フランス)組が駆るゼッケン1号車は、不運に見舞われてしまいました。レース序盤、ファスラーがドライブするスティントで、何度か激しいバトルに巻き込まれてしまいました。このバトルで危険な運転をしたゼッケン8号車のトヨタは、レース審査委員会から厳重注意を受けています。

 このバトルによってゼッケン1号車のAudi R18 e-tron quattroは、リアディフューザーの交換を余儀なくされるという大きなダメージを負ってしまいました。原因となったハードな接触により、電気系統のヒューズにも大きな損傷を負いました。このため、電子制御式ギヤシフトが作動しなくなり、修復のために予定外のピットストップが必要となってしまいました。さらには、コースアウトをした際に、人工芝の一部がアンダーボディに入り込むというトラブルにも見舞われました。

 クーリングエアーを遮断していた人工芝の断片は、わずかなピットストップの間にメカニックが素早く取り除き、トラブルの修復が完了後にブノワ トレルイエがファステストラップを記録しながら猛烈にリカバリーに向けた走りを披露しましたが、再びコースアウトを喫してしまいました。悪いことは続いてしまうもので、さらにゼッケン1号車にはドライブスルーペナルティが出されてしまい、昨年のワールドチャンピオントリオはオースティンのレースを3位でゴールしました。

 優勝したゼッケン2号車のクルーは今回のレース結果により、ポイントランキングのリードを広げました。デュバル / クリステンセン / マクニッシュ組は、今回のレース前に22ポイントだった2番手とのアドバンテージを33ポイントに広げました。今シーズン全8大会のWEC第6戦は、来る10月20日に日本の富士スピードウェイで開催されます。

アウディによるLMPマシンでの100勝までの今日までの歩み:
Audi R8 (2000年~2006年):  63勝
Audi R10 TDI (2006年~2008年):  22勝
Audi R15 TDI (2008年~2011年):  3勝
Audi R18 TDI / ultra / e-tron quattro (2011年~): 12勝

■レース後のアウディ首脳陣のコメント
Dr. ウォルフガング ウルリッヒ アウディモータースポーツ代表
今回は文字通り、非常に熱いレースとなりました。ゴール前のわずか80分にレース展開のすべてが凝縮されていました。ハードな状況を制し、我々は再び優勝を獲得することが出来ました。アウディのLMPマシンが通算100勝目を挙げたことは、何ものにも代え難いことです。この大記録達成に貢献したチームのすべての人達に感謝と祝福の言葉を捧げます。

クリス レインケ LMPプロジェクトリーダー
何もかもが初めてのコースで、我々はスリリングなレースを征して優勝することが出来ました。LMPマシンによる100勝目を挙げられたことは、アウディにとって非常に嬉しい結果となりました。100勝達成までの歩みは、2000年の今回と同じくアメリカでの勝利から始まっています。そのアメリカで歴史的偉業を達成出来たことに、強い因縁を感じています。

ラルフ ユットナー アウディスポーツ チームヨーストのテクニカルディレクター
今回の優勝ドライバーと、LMPマシンによる100勝目を挙げたアウディに、心からの賛辞を送ります。アウディスポーツ チームヨーストは、この偉業達成に最初から関わって来ました。そして今日、熱く長いレースを征することが出来ました。予選では、ライバルのトヨタがこれまでにない成長を見せてきました。その闘いぶりは素晴らしいものでした。我々のゼッケン1号車は多くの不運に見舞われてしまいました。他車との激しい接触により、リヤのボディ交換を余儀なくされ、異物が混入しヒューズがトラブルを起こしました。その様な状態の中での3位獲得は、これ以上ない結果だと考えています。

ロイック デュバル(Audi R18 e-tron quattro 2号車)
完璧な週末でした。トヨタとのバトルは非常に楽しいものでした。初めて訪れた美しい街の素晴らしいコースで、最高の結果を出すことが出来ました。さらに、ポイントランキングのリードを広げることも出来ました。

トム クリステンセン(Audi R18 e-tron quattro 2号車)
これまで数多くのチャレンジを続けてきたチームの全員を、誇りに思っています。今回、オースティンで優勝出来たことも素晴らしいですが、LMPマシンによる通算100勝目を達成出来たことは、サーキットで闘っているチームのメンバーだけでなく、インゴルシュタットやネッカーズルムで支えてくれてきた全ての人々によって成し遂げられた偉大な功績です。そんな素晴らしいチームの一員でいられたことも誇りに思っています。2000年の初優勝の時だけでなく、今回の100勝目でも自分がステアリングを握っていたことに、感動を覚えています。

アラン マクニッシュ(Audi R18 e-tron quattroゼッケン2号車)
素晴らしいレースでした。我々のマシンは、スタートから素晴らしいパフォーマンスを発揮していました。序盤から最後までハイペース保ちながら走ることが出来ました。トヨタも素晴らしい攻勢を見せていました。優勝の行方は、最終ピットストップの後まで分かりませんでした。今回の結果が、アウディのLMPマシンの通算100勝目となったことも、素晴らしいことです。この素晴らしい偉業にトム(クリステンセン)やロイック(デュバル)と共に貢献出来たことに誇りを持っています。

オースティン6時間レースの決勝結果
1: デュバル / クリステンセン / マクニッシュ (Audi R18 e-tron quattro) 187 laps
2: ブエミ / デビッドソン / サラザン (Toyota) +23.617s
3: ファスラー / ロッテラー / トレルイエ (Audi R18 e-tron quattro) -1 laps
4: ベッチェ / ハイドフェルド / プロスト (Lola-Toyota)  -4 laps
5: コンウェイ / マーティン / ルシノヴ (Oreca-Nissan)  -9 laps

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