関谷正徳PETRONAS TOM'S監督が3年の歳月をかけ作り上げ、今季からスタートしたインタープロト・シリーズ。その“売り”のひとつとも言えるのが、プロドライバーが駆るマシンの助手席に乗り、サーキットを走行できる同乗走行体験だ。今回の第2戦で、オートスポーツweb編集部ヒラノが、その魅力を体験してきたのでご報告しよう。
このインタープロト・シリーズは、“ドライビング・コンペティション”を掲げ、イコールコンディションを目指し、富士スピードウェイ周辺のレーシングガレージが培った知識と技術を結集し開発された専用設計のワンメイクレースカー『Kuruma』で争われるシリーズ。340馬力を発生する4リッターV6エンジンをミッドに搭載し、車重1000〜1100kgというスペックは、完全にレーシングカーのもの。それでいてダウンフォースを少なくしてあるため、非常にドライビングはシビア。もちろん電子デバイスはほとんどない。
そんな『Kuruma』を使って、レーシングドライバーのすごさ、モータースポーツの魅力を体感してもらおう……というのがこの同乗走行体験。参加車両が同時に走行するため、疑似レース体験もすることができる。
今回、本来ならばオートスポーツwebナビゲーターの“桃んが”こと桃原美奈さんがこの同乗走行を体験する“罰ゲーム”を行う予定だったが、スーパーGT第5戦鈴鹿でまんまと予想を的中させ、“逃亡”に成功。本来、桃んがさんに付きそいで行く予定だった編集部ヒラノが「せっかくの同乗枠に穴を開けるのもなんだし……」ということで体験することになった。
●グリッドからスタートする同乗走行
レーシングカーの同乗は、2010年1月に体験させて頂いた2シーターフォーミュラ・ニッポン以来。期待しながら向かった富士スピードウェイだったが……。着いてみれば路面は完全にウエット。しかも着いた途端にけっこう大粒の雨が降ってきた。「ウエットでもやるんかな……」と思いながらも、まずは集合場所へ向かった。
同乗走行体験に必要なアイテムは、可能な限り長袖長ズボン。それと、もし自分のものがあればヘルメット(レンタルもあり)。グローブは不要だ。まずは事前に書いた同意書を提出し受付し、簡単な注意事項の説明を受ける。今回は雨のせいか若干タイムスケジュールが押していたこともあり、一度解散し再集合した後、全員でピットレーンに移動した。
ちなみに、今回参戦した車両は7台。それぞれ1台につき最大4名が同乗体験をすることができた。ただし、同乗走行としてとられた時間は25分間。かなりタイトなスケジュールのため、基本的に車両の前で写真を撮ったりということはナシ。模擬レース形式で全車が一斉にスタートするため、あまりワガママは言えないのが正直なところだ。このあたりはファンにとってはそうそう機会があるものではないことなので、一考を願いたいところ。
走行はグリッドからスタートし、そのままグリッドに戻る形。残念ながらストレート通過はないが、自分の前で降りてきた方に話を聞くと「楽しかったです!」「もっとこういう機会を増やして欲しい」と嬉しそうな表情を浮かべていた。
●走行の様子は、動画でどうぞ。
そうこうしているうちに、あっという間にやってきた自分の番。今回、自分が乗り込むことになっていたのは、『auto sport』のロゴが入った50号車B-MAX・インタープロト。ドライバーはスーパーGT500クラスで活躍中の関口雄飛だ。このレースに出場している各車には、auto sportをはじめ東京中日スポーツやベストカー、REV SPEED、Cliccar等々、各自動車媒体のロゴが貼られている。各誌・紙で同乗体験を募集し、それぞれの媒体名が書かれた車両に乗ることができるというワケだ。
ゆっくりとグリッドに戻ってきた50号車のドアが開けられ、前に乗っていた方が下車。コクピットをのぞき込むと、タイトな室内にシートがふたつ。ドライバーシートには関口が座っている。期待の逸材の助手席なんて、そうそう体験できるものではない。4点式のベルトを締めてもらい、いざエンジンスタート。ここからは動画でどうぞ。ちなみに、室温はかなり高め。下りた後は汗だくになっていた。
●レーシングドライバーの“すごさ”を体験
事前に薄々感じていたことだが、今回この50号車はそこまで調子が良く無さそう(この後のプロクラス決勝では優勝するのだが)で、ウエットだったということもあり関口選手はかなり慎重に1周してくれた。実際、後で聞いてみると「かなりゆっくり走りましたよ」とのこと。
ただ、レーシングカーならではと言える室内の雰囲気やブレーキング時のG、加速Gなどは十分に感じることができた。ドライで、かつマシンが完調ならばもっと迫力の走りを体感することができるはずだ。そして、レーシングドライバーの“すごさ”を知ることができるだろう。
その意味で、この同乗走行体験は非常に貴重な機会。モータースポーツはとかくドライバーのスキルが外から見ただけでは分かりづらく、こうして真横に乗ってみることで、強烈なGの中でいかにドライバーが繊細なコントロールをし、強大なパワーのマシンを操っているかを初めて知ることができるはず。auto sportでも今後、第3戦の同乗者を2名募集予定。各媒体でも同様に募集するはずなので、レーシングスピードを体感してみたい方はぜひお見逃し無く!