第10戦 アイオワ(アイオワ州)
予選(6月22日)7位:予選で7番手となりながらも、決勝には17番グリッドからスタート
決勝(6月23日)23位:トラブルによりリタイアに終わる

●予選(7位)
 佐藤琢磨は本日アイオワ・スピードウェイで開催されたアイオワ・コーン250の予選で7番手となりましたが、エンジン交換を行ったためにペナルティを科せられ、16番手からスタートすることとなりました。ただし、予選7番手という成績はABCサプライ・チームにとってこれまででベストの成績です。以前の最高位は2011年の13位でした。

 エンジンに問題が発生したため、琢磨はセッションを10分早く切り上げて詳しく調査を行ったところ、ホンダからエンジン交換を指示されました。新しいエンジンに積み替えたのが予選前だったため、このレースでペナルティが科せられることになります。もしも予選後にエンジン交換を行っていれば、ペナルティが科せられるのは次戦となっていたでしょう。

 ABCサプライ・チームはエンジン交換とセットアップ調整を2時間30分以内で終え、予選に向けた車検を時間どおりに受けることができました。

 琢磨はワンラップアタックの予選で182.3mph(約291.7㎞/h)を記録、全24台のなかで10番手となりました。ただし、このタイムだけではトップ6だけが挑める1ラップ・アタックの最終予選セッションには進出できません。

 琢磨は、ポールシッターのスコット・ディクソンと並ぶポジションから50ラップで競われる第1ヒートに出走しました。ヒート序盤はアレックス・タグリアーニが琢磨に襲いかかりましたが、これを凌ぐと、後半はトップを走るディクソンに迫っていきました。琢磨は2番手でフィニッシュ。これによってトップ10のグリッドを決める最終ヒートに参加できることになりました。また、第2ヒートには第1ヒートに出場した以外のドライバーによって競われました。

 最後のヒートレースに、琢磨は最後尾となる10番グリッドからスタート。序盤は8番手までポジションを上げ、再び10番手まで後退します。さらに、残り20ラップになると琢磨は前を走るドライバーに追いついていきましたが、トップグループはすでに大きなギャップを築いていました。しかし、琢磨は残り5周でトニー・カナーンをパスし、7番手でフィニッシュしました。

 チームは、最後の予選ヒートに向けてセッティングを変更したところ、ハンドリングを改善することができました。ダン・ホリデイとエンジニア・チームは、これまでに得たデータをじっくり研究し、明日の決勝に向けてさらにマシーンを進化させることになるでしょう。

佐藤琢磨のコメント
「エンジン交換したことを考えれば、今日はいい1日だったと思います。今回もトップ10で予選を終えることができました。予選のヒートレースはABCサプライ・チームにとって実り多いものでした。明日に向けては、もう少しスピードを伸ばしたいところですが、2回のヒートレースを戦うことで、最終ヒートだけを走るよりもマシーンに対する理解が深まったと思います」

●決勝(162 Laps)
 佐藤琢磨とABCサプライ・チームはまたしても好成績を収めるかに見えましたが、残念ながら期待されるような結果は得られませんでした。

 琢磨は7位で予選を通過しましたが、これはAJフォイト・レーシングにとってアイオワ・スピードウェイにおける過去最高の成績でした。ただし、予選前にエンジン交換を行ったことから、琢磨は17番グリッドからスタートすることになります。レースのスタートが切られると、最初のコーションまで琢磨は16番手を走行していました。そして40ラップ目にピットストップを行うと、メカニックたちの素晴らしい働きにより7.4秒で作業を終えます。おかげでグリーンフラッグが振られたとき、琢磨は13番手となっていました。その後、琢磨は素晴らしいレース運びを見せてふたつポジションを上げ、11番手まで浮上しました。

 ところが、そこからさらにレースが進行すると、琢磨は遅いクルマによって行く手を阻まれます。ここでスロットルを緩めた間に4つないし5つもポジションを落としてしまいました。さらに、111周目にグリーンのままピットストップを行うと、最初のトラブルの兆候が現れました。エンジンが完調ではなく、ピットでスロットルを緩めたところ、ほとんどストールしそうになったのです。その後も周回を重ねていきましたが、ホンダのエンジニアからは異なるエンジン・マップやフューエル・マップを試すようアドバイスを受けます。そして、これは一時的に効を奏したように見えました。

 その数周後にイエローが提示されたとき、琢磨は周回遅れとなってしまいます。そこでリードラップに戻る望みをかけて、ステイアウトすることにしました。ところが、リスタートではトラブルが解決されていなかったことが明らかになり、マシーンが本来の加速を示さないことから琢磨はレーシング・ラインを外れて走行します。琢磨は集団に呑み込まれましたが、引き続きエンジンの不調を訴えていました。そしてテレメトリーデータを確認したホンダのエンジニアは琢磨に対して直ちにピットに戻るように指示。そしてマシーンを詳しく調査した結果、これ以上レースの続行が不可能であることがチームは告げられました。

 この結果、琢磨はポイントスタンディングで4番手から8番手へと後退しました。

佐藤琢磨のコメント
「最初のスティントやピットストップでは順位を上げることができました。リスタートはとても楽しく、素晴らしいピットストップによりさらに順位を上げられたので、マシーンの調子がいいこともあり、今日はABCサプライ・チームにとってエキサイティングなレースになると予想していました。けれども、2回目のピットストップ以降、スピードが伸び悩むようになります。そこで異なるエンジン・マップやミクスチャーを試して、このトラブルを克服しようとしましたが、うまくいきませんでした。最終的に僕たちはリタイアすることになりました。完走できなかったのは、とても残念です」

(AJフォイト・レーシングのプレスリリースより)

本日のレースクイーン

松田蘭まつだらん
2025年 / オートサロン
AUTOWAY/東京オートサロン2025
  • auto sport ch by autosport web

    RA272とMP4/5の生音はマニア垂涎。ホンダF1オートサロン特別イベントの舞台裏に完全密着

    RA272とMP4/5の生音はマニア垂涎。ホンダF1オートサロン特別イベントの舞台裏に完全密着

    もっと見る
  • auto sport

    auto sport 2025年4月号 No.1606

    [検証]F1史上最大の番狂わせ
    ハミルトン×フェラーリ
    成功の確率

    詳細を見る