セント・ピーターズバーグで開催されているIZODインディカー・シリーズの開幕戦。23日に行われた予選で、ウィル・パワー(ペンスキー)が4年連続となるポールポジションを獲得した。このレースでインディカー50戦目を迎える佐藤琢磨(AJフォイト)は、2番手を獲得し、2011年のエドモントン戦以来となるフロントローからレースに挑む。
Hondaグランプリ・オブ・セント・ピーターズバーグの予選はフロリダらしい快晴の下で行われ、パワーがポールポジションを獲得した。3段階の予選すべてでトップタイムをマークする堂々たる戦いぶりをパワーは見せ、セント・ピーターズバーグでの4年連続のポール獲得を達成した。
琢磨はAJフォイト・レーシングへと移籍して初めて戦うレースながら、予選直前のプラクティス3でトップタイムをマークする順調な仕上がりを見せ、ソフトタイヤ使用の予選でも変わらぬパフォーマンスを発揮。2番手という好結果を手に入れた。
女性ドライバーのシモーナ・デ・シルベストロ(KVレーシング)は、予選前に行われた3回のプラクティスすべてでトップ10入りする安定した速さを見せていたが、予選でも自己ベストなる3番手に食い込んでみせた。
パワーは、「もっと接戦になると思った。ニュータイヤではそうなっていたが、ユーズドタイヤでの戦いだったファイナルステージでは、僕たちの施したセッティング変更が非常に良かったようだ。シモーナ・デ・シルベストロら、新鮮な顔触れが今回のファスト6には見られた。シリーズにとってとても良いことだ。彼女が速いのは以前から僕たちの知るところだったが、今回その実力が結果に繋がった」
「佐藤が速いことも誰もが知っている。今日の彼のパフォーマンスは多くの人々が期待していた通りでは?」と語る。
2番手を獲得した琢磨は、「今週はずっとパワーとの戦いになっていて、残念ながら予選での戦いでは自分がトップになれなかった」と悔しがっていたが、「移籍したばかりのチームで、初めての予選での2番手は完璧といってもいいほどの結果。予選を通してパフォーマンスを上げて行けたことは、明日のレースを戦う上でも勇気づけられるものだった」と手応えを感じてもいた。
デ・シルベストロは、「オフのテストから順調だったが、本当のレース・ウイークエンドにも同じように走れるかどうか不安を感じていた。今日の予選が始まる前もナーバスになっていた。しかし、こうして良い結果を残すことができた。自分たちには実力がある。そう確信することができる予選を戦えた」と喜んでいた。
予選4番手はジェイムズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポート)、予選5番手はエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)のものとなった。ふたりの予選順位は奇しくも昨年のこのイベントでのものとまったく同一となった。そのレースでカストロネベスは優勝を飾り、ヒンチクリフは予選順位と同じ4位でゴールした。
予選6番手にはオフ・シーズンの間からその俊足ぶりで注目を集めていたフランス人ルーキー、トリスタン・ボティエ(シュミット・ピーターソン)が入った。インディカーへのデビュー戦で、初めての経験となるソフトタイヤも見事に使いこなしてのファイナ進出は高く賞賛されるべきものだ。
ボティエは、「予選前のプラクティスが良くなかったので予選がどうなるかは心配だった。しかし、初めての3段階の予選でファイナルまで進めた。とても満足している。ルーキーとして、僕はひとつずつを着実に学びとりたいと考えている。今日はソフトタイヤも初めてトライした。明日のレースではピットストップでクルーやタイヤにぶつからないよう、ミスなくゴールまで走り切ることを目標にしたい」と笑顔で語った。
ディンフェンディング・チャンピオンのライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)はファイナル進出に失敗して8番手、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)は第1セグメントさえ突破できず予選20番手で、明日のレースは19番グリッドからのスタートとなる。
シボレーとホンダのエンジン対決では、ポールを獲得したシボレーがトップ6の4グリッド、トップ10の7グリッドを確保する優勢となっている。しかし、琢磨の2番手が証明している通り、エンジンのパワーやドライバビリティの差より、シャシー・セッティングの差が各エントラントのパフォーマンスに最も大きな影響を与えている。
明日のレースは雨が降るとの予報もあり、今日までの勢力図がガラリと変わるウエット・コンディションでのバトルとなる可能性もある。