ベライゾン・インディカー・シリーズ第5戦にスケジュールされた伝統の一戦、第98回インディアナポリス500マイルレース。18日に予選2日目が行われ、エド・カーペンター(エド・カーペンター・レーシング)が、2年連続でポールポジションを獲得した。佐藤琢磨(AJフォイト)は、23番グリッドから5回目のインディ500を戦う。

 今年からインディ500では新しい予選ルールが採用され、ポールポジション決定は予選2日目となった。予選1日目にポール争いを行なう9人の選考が行われ、それに残れなかった面々は10番手以降のグリッドを競う合うルールだ。

 そして、予選1日目にはアタック回数に制限がなかったのとは一転、予選2日目は10番グリッド以降を巡る戦いでも、トップ9でのポール争いでもアタックは各自1回だけしかチャンスが与えられない。

 朝に予選前最後のプラクティスが行われたが、低温、無風のスピードが出るコンディションとなり、ロシア人ルーキーのミカエル・アレシン(シュミット・ピーターソン)が232.917mphという今年最速ラップをマークした。

 午前11時過ぎ、第98回インディ500のスターティンググリッド、10番から33番を決める予選がスタートした。昨日の予選で記録したスピードの遅い順で走るルールだ。この中には多くの歴代インディ500ウイナーが含まれていた。

 トップバッターは1996年インディー500ウイナーで、今年の出場ドライバーの中で最年長のバディ・ラジアー(ラジアー・パートナーズ・レーシング)。空は快晴、風は朝より若干強くなっていたが穏やかなままで、気温も摂氏17度とさほど上がらないまま予選は始まった。

 1997年F1ワールドチャンピオンのジャック・ビルヌーブ(シュミット・ピーターソン)は、1995年の優勝以来となるインディ500参戦をエンジョイしているが、予選スピードは228.949mph平均と、自身にとっても、ファンにとっても満足のいくパフォーマンスとできなかった。

 昨年度インディ500ウイナーのトニー・カナーン(チップ・ガナッシ)は、昨日までのような暗闇からは脱出。しかし、まだ平均持続は229.922mph止まり。アタックした時点ではトップだったが、最終的に彼の予選順位は16位となった。

 佐藤琢磨は午後12時9分、気温が摂氏17度となった頃にアタックの順番が回って来た。1周目は229.150mph、2周目は229.331mph、3周目は229.369mph、4周目は228.955mph。230mph台には届かず、平均時速229.201mphという結果となった。アタック終了時点での順位は16人中の7番手。これが最終的に予選23位となって、スターティンググリッドは8列目の真ん中と決まった。

 232.917mphを朝のプラクィスで出したアレシンは、230.049mph平均の4ラップでカナーンを抜いてトップに躍り出た。しかし、2008年インディ500ウイナーのスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)が彼の次にアタックし、1ラップ目に231.025mphという素晴らしいスピードをマーク。2周目以降も230.906mph、230.876mph、230.904mphと続けて4ラップ平均が230・928mphとなり、今日のトップに立った。

 次のジャスティン・ウィルソン(デイル・コイン)は230.256mphでディクソン越えを果たせなかったが、2000年インディ500ウイナーのファン・パブロ・モントーヤ(チーム・ペンスキー)が1ラップ目に231.540mphをマーク。2ラップ目も231.040mphだった彼は4ラップ平均をついに今年初めて、そして2003年以来初めてとなる231mph台に載せた。231.007mphを彼はマークしてグループ1のトップ、予選10位を決定づけた。
 
 開幕からのロードレース4戦で目覚しい走りを見せて来ているイギリス人ルーキーのジャック・ホークスワース(BHA)は、初挑戦のインディ500でも同様の好パフォーマンスを発揮。彼は4ラップ平均230.506mphを記録して4列目アウト側グリッドを暫定的に獲得した。最終的に彼のグリッドは5列目イン側まで下がる。予選順位は13位となったのだ。

 ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)の予選アタックは、昨日の夕方のものに続いて不本意なものに終った。ついに1ラップも230mph台を出せず、平均は229.719mph。予選結果は彼にとっては衝撃的な19位となった。チームメイト3人はトップ9でポールポジションを争い、ストックカーからスポット参戦して来ているカート・ブッシュも4列目外側の12番グリッドを獲得。ハンター-レイひとりだけがアンドレッティ勢で苦戦を強いられている。

「スピードが突然どこかに消えてしまった。チームメイトたちと同じセッティングにしても1mph以上遅い。原因は不明だ」と彼は言葉少なだった。

 グリッド4列目イン側、グループ1最速はペンスキーのモントーヤだった。ガナッシのディクソンが2番手で、アンドレッティのブッシュが3番手と、強豪3チームのメンバーがこの列には並ぶこととなった。ブッシュは最速ルーキーの座を射止めた。

 最年少ドライバーのルーキー、19歳のセージ・カラム(ドレイヤー&レインボールド-キングダム)は31位で最後列。最年長のラジアーは最後列、最後尾の33番グリッドからスタートする。

 ランチブレイクの後に予選グループ2が始まった。昨日の最速9人によるポールポジション、そして上位9グリッドを賭けた戦いだ。天候は快晴のまま。気温は意外にも摂氏17度で予選グループ1と大きく変わらないコンディションとなった。

 こちらの予選でも、アタック順は保有スピードの遅い順。4周連続のアタックである点はインディの伝統に則って、どの予選でも変わらない。

 序盤のトップに立ったのはサイモン・ペジナウ(シュミット・ピーターソン・ハミルトン)。彼は230.614mphをマークした。彼を破ったのはウィル・パワー(チーム・ペンスキー)で230.697mph、さらにはジェイムズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポート)が230.839mphで上回った。

 エリオ・カストロネべス(チーム・ペンスキー)はアタック前半の2周で231mph台を出しながら、オーバーステアで3ラップ目が230mph台、4ラップ目が229mph台と急激にスピードダウンし、5度目のポール獲得はなくなった。

 昨年予選・決勝と2位だったカルロス・ムニョス(アンドレッティ・オートスポート)、昨年のポールウイナーであるカーペンター、いよいよ残るのはふたりだけとなった。初ポールをインディでという期待のかかったムニョスだったが、230.146mphとスピードが伸びず予選順位は7位、3列目イン側グリッドとなった。

 そして、最後に登場したカーペンターはヒンチクリフの230.839mphを完全に凌駕する見事な4ラップを完成させた。1周回目は231.442mphで、2周目は231.211mph。3周目は230.769mphと少しダウンしたが、ここまでの3ラップ平均が231.140mph平均で、カーペンターはトップ。続く4周目には230.846mphをマークし、平均は231.067mph。2年連続のポールが成った。グループ1最速だったモントーヤの231.007mphも破った彼は、正真正銘のインディ500最速ドライバーに今年もなった。

「去年よりタフな戦いになっていた。2年連続ポールはとても嬉しい。チームが本当に素晴らしい仕事をしてくれたと思う。今年の僕らは2台体制となった。1台多くのマシンを用意するのは大変だったけれど、チームの全員が大きな力を発揮してくれている。決勝でも目指す結果を手に入れたい」とカーペンターは語った。二度のポール獲得の次は、もちろん初優勝を狙うのみだ。

 2番手となったヒンチクリフは、「最後のラップ、ターン3入り口でマシンがルーズになった。インディの予選では、アクセルを戻していてはポールポジションは無理。悔しいけれど、またしてもポールを逃した。しかし、またフロントロースタートできる点はとても嬉しい」と語った。

 5回目のインディ500での予選、キャリアワースト2となる23番グリッドを手にした琢磨は、「厳しい2日間になりましたね。新しい予選方式は良くできていて、とてもエキサイティングでした。今朝、気温の低かったプラクティスで僕たちは新しい項目を複数チェックし、昨日と比べて幾らかの前進を果たしました。予選での気温は多少高くなっていましたが、スピードアップを達成。しかし、ライバル勢もスピードを上げましたね。ハンドリングがオーバーステアになったマシンで何とか踏ん張り切り、スロットル全開で4周を走行。壁ギリギリを走るアタックとなりました。予選までの自分たちのパフォーマンスを振り返ると、全体的に見ればまずまずの成果を挙げて来ていると思います」と語っていた。

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