フォルクスワーゲンのチーム代表であるヨースト・カピートは、セバスチャン・ローブのようにWRC世界ラリー選手権にスポット参戦するドライバーが2015年より採用される新しい出走順規則から利益を得て勝利した場合、WRC全体の価値が下がってしまうのではないかという危惧を語った。
WRCでは2015年シーズンから新たな出走順規則が採用され、従来のデイ1だけでなくデイ2も選手権ランキングに基づいた出走順となる。多くのラリーの場合、出走順が遅いほど路面状況が良くなるため、ポイントリーダーはリバースオーダーでの出走となるデイ3以外、最もコンディションの悪い状態のなか走りださなければならない。
シトロエンは、2015年WRC開幕戦ラリー・モンテカルロにローブがスポット参戦すると発表しており、あくまで1戦限りの参戦だとしているが、カピートはローブがより多くのラリーに出場し、出走順規則のアドバンテージを活かすことでタイトル争いをかきまわすのではないかと懸念している。
カピートは「メキシコのようなグラベルでの大会では、最初に走るドライバーが勝つことは不可能だ」と語った。
「このようなイベントで、もしあるチームがローブのような別のドライバーを連れてきたら、そのドライバーが勝つだろう。とても単純なことだ。我々はローブがモンテカルロに出場することは聞いている。しかし彼はもっと多くのラリーに出場してくるだろう」
「ローブが3つか4つのラウンドに参加して、シトロエンのために大量のポイントを獲得してくると確信している」
カピートは過去2年WRCのタイトルを獲得しているセバスチャン・オジエを擁するフォルクスワーゲンを率いるが、ローブが勝利することで2015年のチャンピオン争いに不公平が生じるだろうと述べた。
「ローブが3、4回勝利を挙げて、それ以降選手権に出場しない場合、面倒なことになる。外から見たら、ローブの勝利だけを見て『もし、彼が全てのラリーに参加していたら、タイトルを獲っていたんじゃないか。ほかのドライバーはローブがいなかったからタイトルを獲れたんだ』と言うだろう」
「このような事態は選手権の価値を下げてしまう。だから、FIAが出走順に関するルールを変更した時から、こういう事態を招きかねないと警告してきたのだ」
カピートは、あえて優秀なドライバーを走らせないことで、ルールのアドバンテージを得ることさえ検討したと語った。
「例えばヤリ-マティ・ラトバラをあるイベントで出場させず、代わりのドライバーを走らせるとする。彼は路面コンディションの良い10番手か15番手でスタートし、優勝するだろう」
「しかし誰を乗せればいい? ローブと同じ状況でスタートして勝つことができるドライバーはそう簡単には見つからないだろう」