July 25 2010
IZOD IndyCar Series Edmonton Indy
2010年7月25日(日)
決勝
開催地:カナダ・アルバータ州エドモントン
会場:エドモントン・エアポート・サーキット(全長1.973マイル)
天候:快晴
気温:25℃
エリオ・カストロネベスがペナルティで優勝を逃し
スコット・ディクソンが今シーズン2勝目
佐藤琢磨は9位、武藤英紀は17位
カナダ、アルバータ州エドモントンの空港を使って行われた2010年IZODインディカー・シリーズ第11戦は、快晴と過ごしやすい気温の中でのレースとなった。
ポールポジションからスタートしたポイントリーダーのウィル・パワー(Team Penske)は、悠々とトップを走り続けた。ところが、95周のレースが終盤に入ってからペースが下がり、78周目にエリオ・カストロネベス(Team Penske)にパスを許した。
予選2番手からチャンスをうかがっていたカストロネベスは、トップに躍り出るや今シーズン2勝目に向けてリードを広げていった。しかし、ゴールを目前にした90周目、コース上にストップしたマシンの影響で、フルコースコーションとなった。最後のリスタートは92周目に切られ、残り3周のバトルが始まった。このリスタート直後のターン1進入でパワーがカストロネベスにアタック。この時のカストロネベスの走行ラインがルールで禁止されているブロッキングと判定され、カストロネベスにはペナルティが言い渡された。
カストロネベスはピットレーンをドライブスルーするペナルティを消化しないままゴールし、優勝はスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)のものと宣言された。2位はパワー、3位はダリオ・フランキッティ(Chip Ganassi Racing)。マシンを止めたカストロネベスはIRLのオフィシャルに猛烈に抗議したが、聞き入れられることはなかった。ペナルティを消化せずにフィニッシュした彼の成績はリードラップ最後尾の10位とされた。
ポイントランキング3位でエドモントンでの第11戦を迎えていたディクソンは、今季2勝目、キャリア23勝目を飾った。それはIRLインディカー・シリーズでの最多勝利の更新であると同時に、自らの30歳の誕生日を祝う勝利ともなった。
佐藤琢磨(KV Racing Technology)は、予選13番手から95周のレースを通してアグレッシブに走り続け、初のトップ10フィニッシュを果たした。9位はキャリアベストとなるゴールだったが、最後のリスタート後に追突される不運がなければ7位でゴールできていたはずだった。
武藤英紀(Newman/Haas Racing)は予選11番手からのスタートだったが、マシンはハンドリングが安定せず、スピンを喫して18番手までポジションダウン。そこから追い上げようと奮闘したが、1つ順位を上げての17位でフィニッシュした。
コメント
スコット・ディクソン(優勝)
「競技長のブライアン・バーンハートは、どのレースでも我々にブロッキングに対する警告をしてきている。今日のカストロネベスのリスタート後の走りは、こうした事態を引き起こすと思った。我々にとって本当に厳しい週末となっていた。レースでもマシンのハンドリングはオーバーステアが強く、まさか勝てるなんて思ってもいなかった」
ウィル・パワー(2位)
「最後のリスタートではうまくスピードを乗せることができ、カストロネベスにアタックできた。それに対して彼はブロックしてきた。黒旗というペナルティは厳し過ぎるが、起こってしまったことは仕方がない。最後のリスタートでトップを走っていたら、誰もがリードを失いたくはないと考える。レースでは起こりがちなことだ」
ダリオ・フランキッティ(3位)
「最後のリスタートが勝敗を決した。カストロネベスはブロックしてペナルティを受け、ディクソンはいいダッシュをしたことでパワーをパスして優勝した。私もパワーをパスしようとアタックしたが、並びかけるところまではできたものの、抜ききることができず、3位でのゴールとなった。2人が表彰台に上ったのだから、チームとしてはすばらしい週末になったと思う」
佐藤琢磨(9位)
「KV Racing Technologyにとって、本当にすばらしい一日になったと思います。エドモントンでのレースはサイドバイサイドの戦いとオーバーテイクに満ちていて、非常にエキサイティングでした。自分自身もレースを思いきり楽しむことができました。最後のスティントでは周回遅れに延々とブロックされました。そして、最後のリスタートの後にはトニー・カナーン(Andretti Autosport)に追突され、スピンしたために2つポジションを落とすことになりました。7位でゴールできていたレースですが、非常に多くの収穫があったので、9位という結果もよいものだと思います」
武藤英紀(17位)
「ソフトタイヤでスタートしましたが、グリップがありませんでした。燃料を多く積むとマシンのバランスが崩れてしまう、今シーズンの悪い傾向が出ました。1回目のピットストップでハードタイヤを装着しましたが、内圧のバランスが悪かったらしく、リアのグリップが長いこと上がってきませんでした。スピンをしたのはその後です。最後のスティントもハードタイヤで走ったのですが、リアがグリップしないためにドライビングがとても難しくなっていました」
ロジャー・グリフィス|HPD テクニカル・ディレクター
「カストロネベスはすばらしいレースを戦っており、パワーからトップを奪った走りは見事だった。しかし、オフィシャルは最後のリスタート後の彼の走りをブロッキングと判定し、ペナルティを科した。勝利はパワーをパスしたディクソンのものとなり、パワーは2位、フランキッティが3位となった。今日のカストロネベスに対する判定は、これから長いこと人々の話題に上ることとなるだろう。 カナダの熱心なレースファンは今年もインディカー・レースをサポートしてくれ、すばらしい快晴の下でスリリングなハイスピードバトルが展開された。カナダ出身のポール・トレイシー(KV Racing Technology)は6位でゴールし、母国のファンの喝采を浴びていた。彼を走らせたKV Racing Technologyは全員がトップ10でゴール。佐藤琢磨も9位という成績を残した。 来年もまたエドモントンでレースが行われることを楽しみにしたい」