今季のル・マン24時間耐久レースに、“ガレージ#56”という特別枠から参戦するニッサン-デルタウイングが、イギリスのスネッタートンで初めてヨーロッパでのテストを行った。
ニッサン-デルタウイングは、ローラに在籍したベン・ボールディがデザイン。ウイングを省き床下でダウンフォースを発生させるとともに、排気ガスを劇的に減少させるために車重とドラッグ、さらにマシンを組み上げるコンポーネンツを大幅に減らし、大胆な軽量化を達成しているマシン。
今季からル・マン24時間では、次世代の環境技術を志したレーシングカーに特別参戦枠として“ガレージ#56”という枠が設けられているが、このデルタウイングはインディカーのシャシーコンペに敗れた後、2シーター化したマシンでこの枠を勝ちとっていた。さらに、3月に入りニッサンが1.6リッター4気筒ターボエンジンを供給することを明らかにし、“ニッサン-デルタウイング”としてル・マンに挑戦することになっている。
すでにニッサン-デルタウイングはWEC世界耐久選手権第1戦セブリングでデモランを行い、その後セブリングに残ってテストを行っていたが、17日にイギリスのスネッタートンでテストを開始。初めてヨーロッパでテストを行うとともに、初めてのウエットでの走行も行っている。
ステアリングを握ったのは、すでにドライバーに決定しているマリーノ・フランキッティとミハエル・クルム。フランキッティはヘビーウエット下での走行での挙動を確認したほか、クルムは天候回復後サスペンション、ギヤボックス、ブレーキのテストを行っている。
「今、ニッサン-デルタウイングチームの全員が急激な成長曲線でマシンを学んでいるんだ」と語るのは欧州日産のゼネラルマネージャーを務めるダレン・コックス。
「アメリカでのテストは、このエキサイティングなマシンの初期の安定性を確保するのに最適な手段だった。しかし、我々はフランスの田園地帯でレースをすることになるんだ。ル・マンで直面するであろうウエットコンディションを、ノーフォークの雨で学ぶことができたんだ」