トヨタ自動車は10日、2012年のル・マン24時間に挑戦するTS030ハイブリッドの2台目のドライバーとして、アンソニー・デイビッドソン/石浦宏明/セバスチャン・ブエミの3人を起用すると明らかにした。
2012年からル・マン24時間とWEC世界耐久選手権に参戦するトヨタは、ドイツのTMGで開発したシャシーに、日本で開発したハイブリッドシステムを搭載して参戦する。当初、1台のドライバーとしてアレックス・ブルツ/ニコラス・ラピエール/中嶋一貴という3人が明らかにされていたが、マシン公開の際に2台目のル・マン参戦が明らかにされていた。
今回発表された3人のドライバーのうち、デイビッドソンはかつてスーパーアグリF1などで活躍。その後はスポーツカーレースに転じ、プジョーのドライバーとして長年活躍してきたため、スポーツカーレースの実績は充分。SAF1以来の日本チームとの仕事になる。
「今年のル・マンにまた参戦することになり嬉しいよ。ル・マンを戦うことは常にエキサイティングだけど、トヨタ・レーシングに加わってハイブリッド・レーシングカーで出場するということはさらに特別だね」とデイビッドソン。
また、TS030ハイブリッドのシェイクダウン時にステアリングを握り、“2台目のドライバー候補”とされてきた石浦が、正式に8号車のドライバーに就任することに。トヨタの若手育成ドライバーの一員として育ち、フォーミュラ・ニッポンやスーパーGTで速さをみせてきた石浦は、ル・マンに憧れてドライバーを目指しただけに、参戦決定に喜びのコメントを発表した。
「僕のレース人生における目標のひとつであるル・マンに挑戦できるというのはとても大きなチャンスです。ここ数年、耐久レースで多くの経験を積んできましたが、ル・マンのスケールやスピードはさらに上のレベルだと思います」と石浦。
「TS030ハイブリッドについてはロールアウトの際にすでに体験し、実際一番最初にドライブしたのは自分です。外見からの好印象だけでなく、可能性の高さも感じられ、開発に貢献できるのを待ち望んでいます。何よりも、ル・マンに参加できることが楽しみで仕方なく、待ちきれません」
また、3人目のドライバーには昨年までトロロッソからF1に参戦、今季はレッドブルのリザーブドライバーも務めることになるブエミが決定。「トヨタのドライバーとしてル・マンに参加するというのは僕にとって特別なことなんだ。40年以上前から僕の祖父はトヨタのディーラーを経営していたからね」とブエミは語る。
「トヨタのハイブリッドカーをドライブできるということにも興奮しているんだ。僕はこれまでに初代と二代目のプリウスでハイブリッドカーを運転したことがあるけど、TS030ハイブリッドはさらに進化していて、レースを戦うのを心待ちにしているよ」
TS030ハイブリッドの2台目はル・マン24時間に参戦は決定しているものの、その他のWECのラウンドについての参戦はまだ明らかにされていない。