WEC世界耐久選手権でトヨタ・レーシングのシャシープロジェクトを率いているジョン・リッツェンが、新型車両の『TS040ハイブリッド』開発に関する工程と今季に向けた展望を語っている。
トヨタは30日、今季WEC参戦体制について、四輪で回生と力行を行う新THS-Rシステムなどを搭載した新型車両のTS040ハイブリッドによる2台体制で14年シーズンにフル参戦する予定であることを発表した。
シャシープロジェクト・リーダーを務めるリッツェンは、トヨタは12年末からマシンの設計に取り掛かり、昨年のル・マン終了後から本格的に開発が始まったのだと語っている。
「我々は2012年の11月頃にデザインの検討に取り組み始め、徐々にこのマシンへの関わりを増やしていったんだ。エンジニアたちが完全にTS040ハイブリッドに注力し始めたのは、昨年のル・マン終了直後だった」とリッツェン。
開発に際しては、トヨタ・モータースポーツGmbH(TMG)の持つ高度なシミュレーション技術が大いに役立ったのだという。
「TMGには高度な演算/シミュレーション技術があるから我々はとても幸運だよ。バーチャルな世界でマシンを開発することができるからね。これによって、マシンを製造する前の設計段階でより理論的な開発活動を行うことができる。我々が14年に向けて直面したような大規模なレギュレーションの変更に対応する際に、これは大きな意味を持つんだ」
リッツェンによると、今季投入するTS040ハイブリッドは、様々な面で高効率を実現していたTS030ハイブリッドと比べても大きな変革を遂げているのだという。
「TS040ハイブリッドは、空力的にもメカニカル的にも非常に効率の良かった先代と比較しても大きな変革を遂げているんだ。僕らはこのマシンに大いに期待しているし、シーズンの開幕が楽しみだよ」
また、トヨタ・レーシングの木下美明代表は、車両規則が改正され勢力図がリセットされた今年こそ成功を勝ち取りたいのだと意気込んだ。
「2014年シーズンはトヨタ・レーシングにとって重要な1年になるだろう。この2年間、我々は多くの経験を積み、そして今、新たなレギュレーションとともに全てのチームが同じ地点からスタートすることになる。我々にとってエキサイティングな挑戦になるが、成功を勝ち取ろうと決心している」
トヨタは、技術的な詳細も含めたTS040ハイブリッドに関する発表を、3月末に予定されているポール・リカールでのWEC公式テスト直前に行うということだ。