2014年4月13日
(株)トヨタモーターセールス&マーケティング
モータースポーツオフィス

2014年全日本選手権スーパーフォーミュラ第1戦
コース:鈴鹿サーキット(5.807km)
予選:4月12日(土)晴:ドライ
決勝:4月13日(日)曇:ドライ

ロイック・デュバルが新生スーパーフォーミュラ最初のレースを制す
ジェームス・ロシター、石浦宏明が続き表彰台獲得。トヨタエンジントップ7独占

 4月12日(土)、13日(日)にスーパーフォーミュラの開幕戦が行われ、ロイック・デュバル(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)が新生スーパーフォーミュラ最初のレースを制した。セーフティカーが導入され、順位も激しく入れ替わった波乱のレースで、フル参戦初年度のジェームス・ロシター(KONDO RACING)が2位、2年ぶりのフォーミュラ復帰となった石浦 宏明(P.MU/CERUMO・INGING)が3位で表彰台を獲得。トヨタ「RI4A」エンジンはデビューレースでトップ7を占めた。最前列グリッドから序盤上位を逃げたトムスの2台は、ピットの作業ミスで後半ペースが落ちたアンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)が5位、セーフティカー導入の不運で後退し、追い上げた中嶋 一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)が6位に終わった。

 2014年シーズンのスーパーフォーミュラ開幕戦となる第1戦が、4月12日(土)、13日(日)の両日、三重県の鈴鹿サーキットで行われた。

 スーパーフォーミュラは、今季よりエンジン、シャシーともに一新し、全く新しい車両でのレースに生まれ変わった。エンジンは、昨年まで5年間にわたって使用されてきた3.4リッター自然吸気V型8気筒に代わり、日本独自の「NRE」規定で開発された直列4気筒2リッター直噴ターボとなる。この新エンジンが、新たに採用されたダラーラ製シャシーに搭載される。

 エンジンの小型・軽量化により「ライト&クイック」なレースカーとして生まれ変わったスーパーフォーミュラは、シーズン前のテスト走行でも既に昨年までのコースレコードタイムを遙かに上回る速さを見せている。トヨタは今年、この新規定に則った新型エンジン「RI4A」を7チーム11台に供給する。

 12日(土)にノックアウト方式の予選が実施された。今季のスーパーフォーミュラは、全戦ノックアウト方式となる。

 気温21度、路面温度30度と過ごしやすい、絶好のコンディションの下、午後1時50分にQ1(20分)がスタート。全車一度タイムを出した後、ピットへ向かい、再アタック。セッション終盤にめまぐるしくタイムが塗り替えられていった。

 トヨタ勢は順調に上位タイムをマークし、11台中10台がQ2へと進出。午前中のフリー走行でクラッシュを喫し、修復はなったものの予選Q1を僅か2周しか走れなかった嵯峨 宏紀(TOCHIGI Le Beausset Motorsports)はタイムを伸ばせず、19番手でQ1敗退となった。

 Q1での上位14台が進出した予選Q2は7分間。このセッションでは、テストから好調なロッテラーが、唯一1分36秒台に入れトップタイム。これにジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(Lenovo TEAM IMPUL)、中嶋一貴、2年ぶりのフォーミュラ復帰となる石浦が続いた。このセッションでは、平川 亮(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)、国本 雄資(P.MU/CERUMO・INGING)、今季スーパーフォーミュラデビューのルーキー、中山 雄一(KCMG)が惜しくも敗退。それぞれ11、12、13番手グリッドとなった。

 Q3(7分間)は上位8台によるタイムアタック。ロッテラーは36秒台には入らなかったものの、ここでもトップタイムをマーク。この週末フリー走行から通して全セッショントップという圧倒的な強さを見せたロッテラーが、新生スーパーフォーミュラ最初のポールポジションを獲得した。また、ロッテラーがQ2でマークした1分36秒996は、鈴鹿のスーパーフォーミュラでの新たなコースレコードとなった。

 2番手には、2001年以来13年ぶりに日本のトップフォーミュラ参戦となった元F1ドライバーのクマール・ラム・ナレイン・カーティケヤン(Lenovo TEAM IMPUL)が続き、これに僅か100分の1秒届かなかった中嶋一貴が3番手。昨年スーパーフォーミュラにはスポットで2戦のみ出場、今季初のフル参戦となるロシターが4番手、オリベイラが5番手、石浦、デュバルと続き、トヨタ「RI4A」エンジンはデビューレースの予選でトップ7を占める速さを見せた。この7台はほぼ0.5秒以内に入っており、明日の決勝レースも激戦となることが予想される。

 尚、カーティケヤンはフリー走行時の違反により、3グリッド降格のペナルティを科されることとなった。このため、明日の決勝レースは中嶋一貴が2番手に繰り上がり、トムス勢が最前列に並ぶこととなった。

 13日(日)は空に雲がかかり、気温16度、路面温度21度と前日よりも肌寒いコンディション。午後3時にフォーメーションラップが開始され、43周の決勝レースのスタートが切られた。

 スタートでは若干出遅れたポールポジションのロッテラーを、最前列2番手に並んでいた中嶋一貴がかわし、首位に浮上。序盤は、中嶋一貴とロッテラーの2台が3位以下を引き離していった。

 その後方では、7番手スタートのデュバルが徐々に順位を上げ、4周目に5位に浮上。前を行くロシターとの4位争いを展開した。

 15周目、6位走行中のカーティケヤンがS字コーナーでスピンを喫し、コースをふさぐ形でストップ。セーフティカー導入となった。このチャンスに、ほとんどの車両が一気にピットへと向かったが、2位のロッテラーに1秒近い差をつけ首位を守っていた中嶋一貴と、3位のオリベイラはピットに入らず。

 18周目にセーフティカーが戻り、再スタートが切られると、どこかでピットに入らなくてはならない中嶋一貴とオリベイラはプッシュし後続を引き離していった。一方、事実上の首位につける3位ロッテラーの後では、デュバルとロシターがサイド・バイ・サイドでのバトルを展開。23周目にデュバルがこれを制し4位に浮上すると、勢いに乗るデュバルは、ピットで前タイヤの左右を逆に取り付け、ペースの上がらないロッテラーを攻め、25周目にこれをパス。

 30周目、首位の中嶋一貴と2位のオリベイラがピットイン。12位、13位でコースに復帰し、デュバルが首位に浮上した。

 ピットインで大きく順位を落とした2台だったが、中嶋一貴はファステストラップを更新する猛烈な追い上げを開始。あっという間に団子状態となっていた5位以降の集団に追い着くと、次々とライバルをパスして順位を上げていった。

 上位争いでは、デュバルが圧倒的な速さで首位を逃げる一方、2位のロッテラーは厳しいタイヤで必死の防戦。ヘアピンやシケインの進入では毎回タイヤスモークをあげるほどの苦しい走りながら、ロシターの猛追からポジションを守り続けた。

 しかし、レース終盤となった41周目、ヘアピンでついにロシターがロッテラーをパス。翌周のダンロップコーナーでは、石浦がロッテラーをかわし、3位へと浮上した。

 激しい追い上げで7位まで順位を上げていた中嶋一貴は、前を行く国本との6位争いの中、1コーナー進入で接触を喫し、国本は激しくタイヤバリアにクラッシュ。好走を見せていた国本だったが、痛恨の戦線離脱となった(13位完走扱い)。

 デュバルは最後は独走で、2位に16秒もの大差を付けてのトップフィニッシュ。新生スーパーフォーミュラでの、歴史に残る初ウィナーに輝いた。2位には今季よりスーパーフォーミュラフル参戦となるロシターが入り、初表彰台を獲得。3位には2年ぶりのトップフォーミュラ参戦となった石浦が復帰第1戦での表彰台となった。

 4位に自己最高位タイの平川、5位にロッテラー、6位中嶋一貴、7位オリベイラと続き、トヨタ「RI4A」エンジンはデビュー戦でトップ7を占める活躍を見せた。

ロイック・デュバル(KYGNUS SUNOCO Team LeMans #8):
「今の気分は最高だ。今日はレース中にたくさんの選手とバトルが出来、とても楽しかった。金・土とあまりクルマのセッティングが良くなかったのだが、昨晩良いセットを見つけ、今朝のフリー走行でそれを試したところ、パーフェクトな仕上がりになった。レースでは、セーフティカーが出た後、オーバーテイクを重ねトップに立つことが出来た。今年のレギュレーションは非常に良い。トヨタやシャシーメーカー、チームの努力のおかげもあって、素晴らしいシーズンになると思う」

ジェームス・ロシター(KONDO RACING #3):
「今朝のフリー走行で、フルタンクで走ってピットインを繰り返した。1台体制のチームで他のチームよりデータが少ないため、1つ1つの作業がとても大事であり、ポジティブにいろいろ試した。決勝レースはどうなるのか全くわからず、とても不安な中で迎えた。スタートは上手く行かず、前のロッテラー選手も良くなかったことでそちらに気を取られていたら、オリベイラ選手に先行されてしまった。レース中は、オーバーテイクシステムやタイヤのおかげで、サイド・バイ・サイドになってもオーバーテイクは容易だった。最高のレースだった」

石浦 宏明(P.MU/CERUMO・INGING #38):
「2年ぶりのフォーミュラだが、復帰してすぐ表彰台に乗ることが出来、ほっとしている。チームを強くする為にとオファーを受けたのだが、チャンスをくれたチームに感謝している。乗った当初は、スピードについていけなかったりと悩んだが、今週はクルマもゆっくりに感じ、攻められる状態になるなど、テストの時から積み上げてきたものが間に合ったという状況だった。決勝に関しては、ロングランの経験も、ピットストップ練習も一度もしたことがないような準備期間で迎えたのだが、上手くまとめられて良かった。スタートはとても上手く行ったのだが、前をふさがれてしまった。パスして前が開けてからの追い上げで速さを見せられたし、自分としては良いレースが出来たと思っている」

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