第79回ル・マン24時間耐久レースで、地元フランスのビッグイベントで初の総合優勝を飾ったアウディスポーツのブノワ・トレルイエは、優勝の後ピットレーンで涙。チームメイトのマルセル・ファスラー、そしてアンカーを務めたアンドレ・ロッテラーと喜びを分かち合った。
キャリアのほとんどを日本で過ごし、昨年からスーパーGTとともにル・マンでアウディワークスのシートを獲得したトレルイエは、今回のル・マンでは予選で見事ポールポジションを獲得。持ち前の速さを十分に披露し、スタートでもトレルイエはトップをキープ。僚友の3号車、1号車が大きなアクシデントで姿を消した後もトップをプジョー勢と争い続けた。
残り1時間を切り、プジョー9号車に6秒近くまで迫られながらもロッテラーが最後まで手綱を緩めずトップでチェッカーを受けると、トレルイエはテレビのインタビューに答えながら、悲願であったル・マンでの総合優勝に涙を流した。
「とてつもないレースを制して勝つことができたのは素晴らしいことだ。これはチーム全体の勝利なんだ」とトレルイエ。
「僕らはただドライブしていただけにすぎないよ。準備こそがもっとも大きな仕事だった。これほど信頼性が高く、速いマシンが用意されていなければ、24時間レースで優勝することなどできないからね」
「今日、チームが一丸となった勝利を得ることができた。これは例えればサッカーのようなもので、もし誰かがミスをしたら、勝利はつかめないんだ」
フランス生まれのトレルイエにとっては、フランスGPが行われない今となっては、国内最大のモータースポーツイベントのひとつであるル・マンでの勝利は格別のものだろう。そして、トレルイエにとってはフォーミュラ・ルノー・エルフ・キャンパス時代からの同期生たちとの表彰台が特別なものだったと語る。
「僕が卒業したル・マンで開催されたレーシングスクールの同期生、マルセル(ファスラー)とセバスチャン(ブルデー)とともに、再び表彰台に上がれたことをすごく嬉しく思ってるよ」とトレルイエ。
レース後のポディウム横の控え室では、同じくル・マン初勝利を目指したブルデー(2度の2位表彰台はあるものの優勝は無し)が悔しそうな表情を浮かべつつも、トレルイエと盛んに話しこみ、最後にはお互い肩を叩きつつ別れる姿が印象的だった。